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【少年野球】親は「当番」を頑張りすぎてはいけない(2)

 地域に根ざした普通の少年野球チームで親が揉める理由の一つに「お当番問題」がある。頑張って活動する人がサボっている(ように見える)人に不満を抱いたり、無駄なことをさせられているとチームに不満を持ったりするのだ。
 その改善策として、まず親が頑張りすぎないことが大切だとお伝えした。
例えば車出しする人が足りなくて電車で遠征することになっても、それはそれで仕方がないのだ。そうした困った状況をつくることもチーム運営の改善につながる。

 ではこの問題をチーム側から考えてみる。
 これまで問題にならなかった係や当番でトラブルが起きたとき、チーム側はそれを親個人の性格やその学年特有の問題と捉えやすい。
 しかし、事情を良く確認するとその裏には様々な問題が隠れていて、そうした不満がたまたま「お当番問題」にあらわれたということも多い。
 誰かの犠牲の上にギリギリ成り立ってきた活動は必ずどこかで破綻する。そのタイミングが来たのだとチーム側が認識し、親も含めて改善策を話し合う必要がある。

 しかしチーム側はなかなかそうした動きを見せない。特にチームの伝統的文化の場合、本能的な抵抗感がまずあるだろう。OBまで出てきて口を出すこともあるからやっかいだ。そして一度パンドラの箱を開けてしまうと様々な意見が出てしまい、まとめるのが大変になるのも事実である。
 またワンマンな監督がすべてを仕切っているチームでは「変えたい」と提案することさえ難しい場合もある。
 
 しかし、若い世代の親が不満も持つような伝統を「以前はうまくいっていた」とか「最近の親はすぐにラクをしたがる」と思考停止状態で続けさせようとするのはやはり怠慢であり傲慢だ。

 もしチーム関係者と親が対立してどちらかが去らなければいけなくなったら、去るべきなのはどちらだろうか。
 当然チーム関係者は「数年しか在籍しない親子より自分たちの方がチームにとって重要な存在だ」と自負している。自分たちを「上」、親子は「下」だと当たり前に考えている。
 「子どもが集まるからチームが成り立つ」ということをようやく思い出すのはチームに人が集まらなくなって崖っぷちに立たされてからだ。実は子どもたちのおかげで楽しい活動が出来ていたのだ、対等な関係だったのだとそのとき初めて気づく。
 
 もちろん、監督やコーチにも言い分はあるだろう。だからこそ話し合わなければならない。
 ほとんどの親は多少の不満があっても、その本心をなかなか言い出せないでいる。あくまで監督やコーチが「上」で自分たちは「下」だと感じているし、感謝もしているからだ。それはボランティア組織が抱える根本的な問題でもある。
 だからこそ問題が表出したとき、それはかなり重大な局面に来てしまっていると真剣に耳を傾ける必要がある。誰かの犠牲の上にギリギリ保たれていたバランスがとうとう崩れたのだと理解し、チーム側も真剣に取り組まなければならない。
  この問題の「正解」は各チームでそれぞれ違うのだ。風通し良く、頻繁な話し合いが出来るチームが結果的に生き残っていくだろう。
 
 
 

 

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