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【少年野球】親は「当番」を頑張りすぎてはいけない(1)

 地域に根ざした普通の少年野球チームでおこる様々なトラブルの中に、「お当番問題」がある。
 監督やコーチにお茶やお弁当を用意する「お茶当番」という文化はだいぶ衰退したようだが、遠征の車出しや付き添い、審判、スコアラー、写真撮影、練習用グラウンドの予約、保険の加入や更新、道具の管理、懇親会やレクリエーションの企画準備などの「係」や「当番」はまだまだ多くのチームで残っているだろう。

 監督やコーチは試合やプレーに関わることで手一杯なので、それ以外のことを親がサポートするのはある意味当然とも言える。大人たちが助け合って活動するしかないのが少年野球チームの基本であり、それが嫌ならば相応の月謝を払ってスクールに通う方が良い。
 とはいえ土日に仕事がある人、育児や介護がある人、理由は分からないが非協力的な人など個人の事情は様々で、なんとなくやれる親を中心に頑張っているというのが多くのチームの実情だろう。

 しかし、そうやってなんとなく回しているお当番がうまくいかなくなることがある。 

 「なぜこんな無駄なことにエネルギーを使うのか」
 「なぜ他の人はやらないのか」
   「こんなに頑張っているのになぜ自分の子はベンチなのか」

 そうした不満を親たちが抱きはじめると、チームの雰囲気は途端に悪くなる。特に母親たちの間で陰口がささやかれるようになり、だんだんと見える形でその不和が表出してくる。
 さて、そうなった時どうするか。

 私はまず、頑張っている親たちに「頑張りすぎてはいけない」と伝えたい。頑張っている親の多くは「自分がやらないと誰もやらない、チームの活動が滞る」と思って自ら引き受けてしまっているのだ。
 しかし誰かが頑張ってしまうと、チーム側もその活動の必要性を考え直す機会を逃し、同じ人に頼って切り抜けてしまう。結局問題は改善されず悪循環になる。「誰も出来ない」という本当に困った状況をつくることも、実はチーム運営の改善には必要なプロセスなのだ。

 「やれる人がいない」は「やりたい人がいない」と同義で構わない。
「自分が頑張ればなんとかなる」と頑張っても、それが結局不満につながって最後に揉めてしまうぐらいなら、ウソをついてでもやらないほうが良いのだ。それが最終的にはチームのためにもなる。

 ただひとつだけ注釈をつけるとすれば、レギュラーの親は意識的に頑張っておいた方が良い。その頑張りは必ず自分の子どもを嫉妬から守ることにつながるからだ。自分の子がずっとレギュラーなのは実力であり努力の結果だと思っていたとしても、謙虚に協力する方が得である。
 しかしもちろん「レギュラーだからって何もかも押しつけられる」というのは違う。キャプテンの親は生活のすべてを少年野球に捧げなければいけないようなチームもあるがそれは明らかにおかしい。
 また、お当番を頑張っている親の子どもが試合に出られる、といった考えでお当番を頑張るのはやめた方が良い。実際にそういう傾向は見られるかもしれないが、それはむしろ「レギュラーになった子の親が頑張っている」と考える方が自然で矛盾がないのだ。

 まとめると、親は自分の100%を出し切ってお当番や係をやる必要はない。不公平感を募らせて最後に爆発してしまうぐらいなら、ウソをついて適度にサボったり他の人に任せたりしていいのだ。頑張りすぎている親は必ず「なぜあの親はやらないのか」と誰かを責めるようになり、互いに監視し合うようになる。それが一番良くない。
 もし誰もやる人がおらずチームの活動が立ちゆかなくなったら、それは「時代に合っていない活動」であり見直しが必要だという、それだけのことなのだ。

 (2)ではこの問題をチーム側から考えてみる。

  
 

 

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