見出し画像

【少年野球】結局「復讐」が原動力の親子は何度でも心が折られる

 「一時期、親子ともに野球が大嫌いになった」

 ・・・という保護者と話をする機会があった。
 その方のお子さんは中学生で肘の手術を経験し、在籍するシニアチームからお払い箱にあったという。体格も良く才能もあった。誰が見てもエースで4番の器だった。でもケガをきっかけに全てが180度変わってしまった。
 エースで4番だった頃と、チームのお荷物として扱われた頃・・・親として見える景色は変わりましたか?
 聞きたかったが聞けなかった。
 その子は今後もケガが完治する見込みはなく、「楽しめる範囲で」野球を続けるという。
 まだまだ乗り越え切れていない保護者にそんな質問は酷である。
 
 だが、もしこれが完治するケガだったらどうだろう。
 努力の末、またエースで4番に返り咲いたらどうだろう。
 
 その子本人も、親も、自分たちを見限った関係者たちに「ざまあみろ!」と言いたくなるだろう。プライドをズタズタにされ、のけ者にされても自分たちの努力でまた返り咲いたのだと高笑いしたくなるだろう。それは虐げられた者の復讐に他ならない。
 復讐を果たした勝者は、しかし決してずっと勝者でいられるわけではない。どこかでかならずまた挫折を味わう。
 その度に、また「復讐」を誓って乗り越えるのか?
 つらいときに支えてくれた指導者や仲間たちへの「感謝」ではなく、「復讐」を原動力として努力する小学生や中学生を生み出す場が「少年野球の現場」なのか?
 
 そんなチームに「野球を通した青少年の健全な育成」など口にして欲しくない。

 
 
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?