平穏(東○お祈り作品)
8月末、夜の団地に灯る赤い火は、強くなったり弱くなったりを繰り返していた。男は辺りに目をやると、大きく白いため息をついた。
「ねぇ、臭いんだけど。マジキモい」と、部屋から琴海の声が聞こえる。彼女は、いつもどおりパソコンに何やら打ち込んでいる。ヒヤリハットが何やらと言っているが、俺にはよく分からない。
流石にかなと思い、部屋に入ると2段に積まれた段ボールが目に入る。
しかし、あいつの作業が終わるまでは暇だよな、と言い聞かせ、いつものサンダルに足を通し、河川敷へと向かい始めた。