好きと言ってくれるからほんの出来心で私のどこが好きかと訊いてみたのに、いつの間にか好きだったと困ったように君が答えた。寂しさを気取られないようにありがとうと返す。君を想いながら指折り数えた両の手を私はゆっくりと解いた。 俺のどこが好きかと訊き返されて私も同じかなと君の真似をした。
届かないのに手を伸ばしてしまう 誰が決めた訳でもないのに 使命感に駆られている 捨てられないものばかり拾っては 借りモノの理想を掲げて なりたい自分をすり替えては 誰かの背中を追いかけた つかみかけた夢のカケラで 胸の隙間を取り繕った 追い求めることに取り憑かれた少女は いつしか自分の名すら捨てました 回れ右した少年は振り返った先に 自分の色を見つけました 水を知らない盲目な少女に 少年は海を教えたかった 心を枯らした少年に 少女は花を咲かせたかった 自分は一人しかい
いつもそばにいる人 離れていてもお互いを想える人 何気ないことを話すだけの人 自分にとって必要な人 自分を必要としてくれる人 自分のために? 相手のために? 孤独も幸福もみな平等に不公平 同じ傷を同じ雨に濡らしても 心は渇いていくばかり きっと誰のせいでもないのでしょう 滑稽な絵空事を掲げ ひとりじゃないのだと 自分にも他人にも言い聞かせて生きていく どこまで心を許していますか 友情ってなんですか 友達って誰ですか 自分にヤイバが向かぬようにと 本音は胸の奥に押し込んで
微笑みながら そっと髪に触れる手 きっと貴方は何気なかった 強がらないでいいよ また同じことを言うのね 私は決まって答えるの 大丈夫、大丈夫だよ 何度目だろう 胸の奥の痛みにはまだ もう少し気付かないふりで ずっとそばに居るよって また抱きしめるのね 頷くのが精いっぱいなの ごめん、ごめんね 何度目かな またそんな目で見るのね 愛おしそうに真っ直ぐ私を 見つめる貴方眩しい 私にはきっと勿体ない 愛することが痛いの 愛されることが怖いの