「キャンプって」【アニメと漫画と暮らしの日記】

9月8日:金曜日(続き)

 昼寝から覚めたら16時だった。体力が少し回復しており、再び外出することに決める。その前に腹ごしらえ。ご飯が炊けていたので、炊飯器から茶碗にご飯をよそい、『のりたま』と『旅行の友』をぶっかけて食う。
 いろいろしていたら、市立図書館に到着したのが17時過ぎになってしまった。まず、迷いなく岩波文庫の棚に向かい、『失われた時を求めて』の「ソドムとゴモラⅡ」の巻をサルベージする。「ソドムとゴモラ」の終盤をちょっぴり読んで、棚に戻す。次は、「おとな旅プレミアム」という旅行ガイドが配架されている棚。「おとな旅プレミアム」の北海道の巻に手を伸ばす。旅行ガイドは近頃は九州地方のやつばっかり読んでいたので、対極的な地域である北海道のガイドブックを読んで、バランスを取りたかったのである。『旅行ガイドを読むとは、読書の趣味が軽すぎる』という意見もあろうが、「るるぶ」や「まっぷる」その他を無料で読めるのも、公共図書館の魅力なのだ。
 2階に上がり、古新聞を冷やかして、それから退館して、アパートに帰る。歩いているのに、なんだか眠気みたいなものを感じてしまう。腰椎椎間板ヘルニアを和らげる薬の副作用かもしれない。
 冷蔵庫から鶏もも肉を取り出し、キッチンバサミで切る。残りの白飯を皿によそい、油も引かずにフライパンで鶏もも肉を焼き始め、塩・コショウを振りかけ、皿の白飯を投入し、フライ返しで炒めながら、焼肉のタレで味をつける。飯に「焦げ」がつき始めた頃合いで、火を止める。皿にフライパンの中身を全部盛り付けて、チキンライス焼肉のタレバージョンが完成する。
 サンテレビで阪神戦を中継している。阪神はリーグ優勝まで一直線のようだ。

9月9日:土曜日

『灰とダイヤモンド』という小説を少しだけ読み、そのあとでSpotifyで音楽を聴いたりしていたのだが、いまだ夜が明けず、居ても立っても居られなくなり、小さなリュックを背負って外に出る。自由通路に来ると、ちょうど朝の光が出始め、列車も多く線路上に並んでいる。そんな線路を見下ろせるベンチに腰掛け、秋めく自由通路の窓辺で早朝読書を敢行しようとする。リュックから文庫本を2冊取り出す。森鴎外の「うたかたの記」を読み耽る。リルケの『マルテの手記』を読み耽る。通行人はほとんど居ない。

× × ×

『ふたりソロキャンプ』の11巻から16巻を読んだ。掲載誌「イブニング」の休刊とともに、この漫画の「第一部」も終わった。
『俺は、主人公の樹乃倉厳(きのくら げん)より年上だったっけ、年下だったっけ……』と思いながら読み進める。読み進めるごとに、厳さんとヒロインの草野雫(くさの しずく)との距離が近くなっていく。
 個人的には、この漫画に出てくる女性キャラの中では、星崎結衣(ほしざき ゆい)がいちばん好みのタイプなんだけどなあ。

 ところで、有名なソロキャンパーの少女が他の漫画に出てくる。『ゆるキャン△』の志摩(しま)リンである。『ふたりソロキャンプ』という作品に触れるまで、ソロキャンといえば『ゆるキャン△』であり志摩リンであった。
 調べてみたら、『ゆるキャン△』は「まんがタイムきららフォワード」2015年7月号にて連載開始、『ふたりソロキャンプ』は「イブニング」2018年21号にて連載開始である。
「イブニング」2018年21号にて連載開始ということは、『ゆるキャン△』アニメ版第1期放映終了後の開始ということである。
 後追い!?
 いやいや、仮に後追いだとしても『ふたりソロキャンプ』という作品の価値が下がるわけでもないし、そもそも「後追い」というレッテルを貼ったり「後を追ったのではないか?」と疑ったりすること自体が、漫画の道義に反するのだ。たしかに2018年の秋頃には『ゆるキャン△』は流行りまくっていた。『ゆるキャン△』がオタクをインスパイアし、キャンプ場へと向かわせた。だが、後追いだとか詮索して何になるというんだろう。
『ふたりソロキャンプ』の既刊全巻を読み通した私は、『ゆるキャン△』の既刊全巻もまた読み通しているのだ。優劣をつけることだけが比較ではないし、比較することにこだわりすぎる必要もない。今ここで両作品の名前を出したのは、比較というよりもむしろ、「並列」だ。作品を並べて考えただけ。比べ読みではなく、「並べ読み」がしたいだけ。

『ゆるキャン△』のアニメ版は観ようと思ったら何時間でも観ていられるような作品である。『ふたりソロキャンプ』がアニメ化されたとしたら、物語内容的に「何時間でも観ていられる~」とは行かないかもしれないが、16巻も刊行されているのだし、作品も継続するのだし、もう少し積極的なメディアミックスの姿勢が見られても良いのではないだろうか。


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