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マクドナルド、5ドルのメニューに加盟店が反発McDonald’s Is in a New Food Fight. It’s With Franchisees.バリューミール、別売りなら8ドル50セント

バーガーキング、ウェンディーズも

マクドナルド<MCD>のフランチャイズ加盟店は、本社に不満を持っている。今夏に提供する5ドルのバリューミールのことだ。

各地の加盟店は多くの独自メニューをそろえ、価格も独自に設定している。しかし、本社は6月25日から、マックダブルまたはチキンサンドイッチ、スモールポテト、スモールソフトドリンク、チキンナゲット4個のセットを5ドルで提供する計画だ。

加盟店は、バリューミールは薄利多売で得ている利益を削ると主張している。別々に売れば確実に5ドルを超える。例えばロサンゼルスなら8ドル50セントだ。

ケンプチンスキー最高経営責任者(CEO)の狙いは、この期間限定キャンペーンによって米国人に外食に戻るよう促すことだ。

ここ数年、インフレは高級レストランからファストフードまで外食産業に大きな打撃を与えている。そして、割引をアピールしているのはマクドナルドだけではない。

ブルームバーグは、バーガーキング(親会社はレストラン・ブランズ・インターナショナル<QSR>)がマクドナルドに先駆けて5ドルの「ユア・ウェイ・ミール」を復活させ、数カ月続けると報じた。また、5月28日から1週間、創立70周年を記念してワッパー(大型サイズのハンバーガー)とドリンクなどを無料で提供する。

ウェンディーズ<WEN>は2019年から5ドルの「ビギーバッグ」をメニューに載せている。先週からポテト(小)とマフィンがセットになった3ドルの朝食サービスも始めた。

ケンプチンスキーCEOがこのゲームに参加したがっているのは、全国的なバリューのアピール力の欠如がマクドナルドの競争力を低下させることを恐れているからだ。

同CEOは5月のコンファレンスコールで、「全国的に強力なバリューを提供し、われわれが持つメディアスケールを活用して消費者の認知度を高めなければならない」と述べた。


VICTOR J. BLUE/BLOOMBERG

米国では95%がフランチャイズ

ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、加盟店は2週間ほど前にバリューミールの是非について投票した。マクドナルドはこの結果についてコメントを拒否した。

マクドナルドは戦略的な価格を提案することはできるが、通常は加盟店への値下げ要求はできない。全国的なプロモーションを行うには加盟店を説得する必要があるのだ。

マクドナルドの加盟店で組織する全米オーナー協会(NOA)は、加盟店の利益率は10~15%にすぎず、本社の後ろ盾なしに長期的に価格を下げることはできないと主張する。

マクドナルドの米国の約1万3500店舗のうち、95%がフランチャイズ加盟店だ。

NOAは会員に充てた書簡で、「バリューミールで30%も値引きすれば利益が出ない。マクドナルド本社の財政的支援が必要だ」と訴えた。

他のファストフードチェーンも苦しんでいるようだ。バーガーキングの米国の2023年の利益は20万5000ドルで、前年比で50%近く増加した。売上高は170万ドルで、利益率はおよそ12%となる。それにもかかわらず、ブルームバーグ通信によると、加盟店は5ドルの「ユア・ウェイ・ミール」について投票を行ったという。

マクドナルドはNOAの書簡についてコメントを拒否した。同社は、米国の加盟店のキャッシュフローは2018年以降、平均で50%近く増加していると指摘した。しかしNOA側は、営業コストの上昇でキャッシュフローがインフレに追いついていないと反論している。

加盟店は売上高の4~5%のロイヤルティーを支払う。さらに、4%のマーケティング料と年間8万5000~60万ドル超の家賃を負担する。

店舗当たりの売上高は業界トップ

マクドナルドの店舗の年間平均売上高は350万ドルで、業界では最も高い部類に入る。しかしNOAは、ロイヤルティーや通常の経費(商品や人件費など)を支払うと、加盟店ビジネスは「小銭稼ぎ」にすぎないと言う。

特にインフレが続き、州の最低賃金が上昇し続ければ利益率は縮小する。例えばカリフォルニア州では、ファストフード店の従業員の時給が16ドルから20ドルに引き上げられた。

マクドナルド本体は加盟店のおかげで成功を収めてきた。直営店の売上高は2014年以降半減したが、加盟店の売上高は70%強増加している。

マクドナルドは加盟店の売上高に応じてロイヤリティーとマーケティング料を徴収するため、加盟店の貢献度も拡大し、2024年第1四半期には全体の60%を占めた。10年前は33%だった。

マクドナルドにとって加盟店は直営店よりはるかに収益性が高いため、このような変化は驚くことではない。直営店の利益率は14%だが、加盟店からの収入は80%以上を利益として確保している(加盟店の管理コスト、マーケティング、ハイテク化への投資などを除く)。

そのため、マクドナルドの総収益は過去10年で減少したにもかかわらず、純利益は60%近く増加している。つまり、マクドナルドは31%という業界トップクラスの利益率で経営していることになる。

今問われているのは、顧客が5ドルのバリューミールを買うかどうかだ。また、マクドナルドは加盟店のコストの一部を負担するのだろうか。

すぐに分かる。6月25日までもう少しだ。

原文:By Evie Liu
(Source: Dow Jones)
翻訳:時事通信社

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