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エヌビディアよりすごい銘柄があるThis Stock Is Beating Nvidia—and It’s Set to Climb Even Moreアバクロ、1年で357%、2年で816%上昇

本誌の見立ては間違っていた

エヌビディア<NVDA>は世界で最も価値のある企業の一つかもしれないが、アパレル小売りのアバクロンビー&フィッチ<ANF>はエヌビディアに一歩も引けを取っていない。

アバクロの株価は過去12カ月で357%上昇し、エヌビディアの191%高をアウトパフォームしている。2年間で見てもアバクロは816%高、エヌビディアは630%高だ。

アバクロの株価が過去最高値に迫りつつあった1月、本誌は先行きが不透明だと書いた。一部のアナリストは、若年層向けのショッピングモールを拠点とするアバクロは、市場が期待するような増収増益ペースを維持できないとみていた。

しかし、本誌も一部のアナリストも間違っていた。株価は年初来でほぼ2倍になり、さらなる上振れも期待されている。

ファクトセットによると、アバクロの目標株価平均は190.71ドルで、24日の終値を約10%上回っている。年初来140%近く上昇したエヌビディアの目標株価平均は128.33ドルで、約7%の上昇を示す。

アバクロがエヌビディアのように投資家の熱狂的な支持を集めるのは驚異的だ。時価総額は90億ドル弱でエヌビディアの0.3%にすぎない。得意分野はファッションで、人工知能(AI)革命をけん引する半導体ではない。時価総額2兆9500億ドルのエヌビディアが市場全体に多大な影響力を持っているのに対し、アバクロはS&P500指数の構成銘柄ですらない。

とはいえ、アバクロの過去2年間の好調な業績を考えれば驚くことではない。フラン・ホロウィッツ最高経営責任者(CEO)の下、アバクロは多くのミレニアル世代とZ世代にとって必需品となったブランドを構築した。1月に終了した会計年度で、アバクロは売上高を16%増加させ、調整後EPS(1株当たり利益)は2400%も増加して6.28ドルとなった。

ホロウィッツ氏は最近、本誌が選ぶ2024年のトップCEOの1人に選ばれた。

参考:本誌が選ぶ今年のトップCEO


DAVID PAUL MORRIS/BLOOMBERG; COURTESY NVIDIA

世界進出で市場拡大へ

アナリストは、アバクロの5~7月期の業績予想をこの1カ月で40%、通期予想も16%それぞれ引き上げた。2025年度の売上高は前年比11%増の48億ドルに達すると予想されている。

同じく1月期決算のエヌビディアへの期待も高い。アナリストはこの1カ月で通期の業績予想を7.3%引き上げ、売上高も倍増するとみている。2~4月期の売上高は前年同期比260%強増加して260億ドルに膨れ上がった。

エヌビディアの株価収益率(PER)は約40倍だ。アバクロは18倍と割安だが、過去5年平均の16.4倍とSPDR S&PリテールETF(上場投資信託)の14倍を上回っている。

投資家はエヌビディアの潜在的な上昇力に疑問を抱くかもしれないが、アナリストは強気で90%が「買い」と評価している。アバクロの「買い」評価は30%にすぎない。

エヌビディアの強気派は、AIの投資サイクルはまだ初期段階だと指摘する。アバクロのビジネスはもともと気まぐれで、消費支出の変動に左右されやすいが、ホロウィッツCEOの改革で足腰がかつてないほど強くなった。

アバクロが世界に進出すれば市場はさらに拡大する。

ジェフリーズのアナリスト、コリー・ターロウ氏は「複数年にわたるマーケティング、商品開発、店舗でのプレゼンテーションなどの努力の結果、アバクロはユニークなブランドの確立に成功した。ネットストアの成長も売上高の伸びを後押しするだろう」と述べた。

AIブームは続き、未来を定義するかもしれない。しかし、アバクロの好調さは、そしてエヌビディアの連勝も、決して廃れることのない人間の知性の証と言えよう。

原文 By Sabrina Escobar
(Source: Dow Jones)
翻訳 時事通信社

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