Bar Octave

福島県会津若松市にて静かに明かりを灯し続けるバー・オクターブ。 店主がカクテルなどを独自の切り口で紹介しております。

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福島県会津若松市にて静かに明かりを灯し続けるバー・オクターブ。 店主がカクテルなどを独自の切り口で紹介しております。

最近の記事

№015 【スリーミラーズ】

メールの打ち間違いはかわいいものですが、誤植となると大ごとになったりもしますね。 誤植がきっかけ(であろう)となり、名前が変わったカクテルがあります。 アメリカ禁酒法時代、お金持ちたちはクルーズ船にて遠洋へ離れ、法の力が及ばぬ海の上で酒盛りを楽しんでいました。 ‘‘スリーマイルリミット(領海の限界線)’’なんて名前のカクテルを作っておちょくったりしながら。 このカクテルが‘‘Three Milerスリーマイラー’’と略されるようになったのが1930年頃だそうです。 伝

    • №014 【オレンジブロッサム】

      婚礼で振る舞われる定番の一杯。 ジンとオレンジジュースだけでまとめるシンプルレシピで色味もキュートです。 欧米の結婚式では、ギリシャ神話に由来する‘‘オレンジの花の髪飾り’’を花嫁の頭に飾る慣習があります。 そこからオレンジの花の花言葉も「純粋」「婚礼の祝宴」となりました。 こう書くと結婚式のために作られたカクテルって思っちゃいますよね。 しかししかし。誕生にはまた違うストーリーがあるのです。 生まれたのは禁酒法時代のアメリカ。 酒造を禁じた法の下でこっそり横行してい

      • №013 【シャンパン・カクテル】

        特別な時間を華やかに彩ってくれるのはシャンパンですね。 シャンパンにほんの少し手を加えたシンプルなカクテルがこれ。 ソーサー(平べったいタイプ)シャンパングラスにビターズを少々染み込ませた角砂糖を入れ、シャンパンを注げば完成です。 ビターズとは、ほんの少し加えるだけで風味が増すお酒です。このカクテルに使用するのは薬草の香りが強いものです。 シャンパンとは、フランス・シャンパーニュ地方にて特定のブドウを原料に、厳しく定められた基準のもとに醸造されるスパークリングワインの

        • №012 【パパ・ヘミングウェイ】

          ハバナ旧市街の‘‘エル・フロリディータ’’は、ヘミングウェイが通ったレストラン・バー。ここで彼はオリジナルレシピのフローズンダイキリを1日に12杯飲んでいたそうです。 彼のレシピで作ると、12杯でラムがボトル2本消費されます。。なんて酒豪だ。。 オクターブではさすがにアレンジしていまして、容量半分のレシピを採用しています。 それでも摂取するアルコール量は多くなるので注意が必要です。 そして怖いのが、そのアルコールをほとんど感じることなく飲めてしまうというところなのです。

          №011 【マルガリータ】

          マルガリータは女性からの人気も高いカクテルです。 1949年のカクテルコンテストで入賞した由来があります。作者ジャン・デュレッサーがカクテルに恋人の名前をつけたとか。 若い頃、狩猟に出掛けた際に、マルガリータがハンターの流れ弾を受けて息を引き取るんです。ジャンの腕の中で。 そんな胸きゅんエピソードが女性人気に一役買っているかもしれません。 ところがこの話、日本以外では知られていないらしいのです。どうも後世になって創作されたエピソードの可能性があるそうで。 海外の酒類研

          №011 【マルガリータ】

          №010 【ネグローニ・ズバリアート】

          ズバリアートはイタリア語で「間違い」のこと。 イタリア・ミラノの老舗バール「バール・バッソ」のバーテンダーが、間違ったレシピでネグローニを作ってしまったのです。 ところが、これが美味しいと大好評。「間違いネグローニ」と名付けられ人気カクテルの仲間入りを果たしたのです。 ネグローニとは20世紀初頭に生まれたカクテルで、ジン、カンパリ、スイートベルモットの組み合わせ。甘苦く飲み応えある美味しさでして、ネグローニさんがオーダーして誕生しました。 ネグローニさんはもともと「アメ

          №010 【ネグローニ・ズバリアート】

          №009 【カルーソー】

          美しい緑色のカクテル「カルーソー」はジンをベースにベルモットとミントを効かせた味わい。 伝説的なテノール歌手「エンリコ・カルーソー」に寄せて作られ、スタンダードカクテルとして広く知られています。 エンリコ・カルーソーはイタリア・ナポリ生まれの、古今にその比を見ない歌い手です。 ミントリキュールの爽やかさで、彼の澄んだ歌声を表現していると云われます。 蓄音機の誕生により世界初の人気レコード歌手となった彼の歌声は、バーテンダーのイマジネーションを掻き立てたのでしょうね。わかり

          №009 【カルーソー】

          №008 【クバリブレ】

          キューバ独立の歴史の中で生まれたカクテル「クバリブレ」。 1900年頃、独立戦争に介入してきたアメリカ軍の将校により作られました。 キューバ地場産品のラムに同じく地場産品のライムを搾り、アメリカから持ってきたコーラで割る。 誰もが思い付く組み合わせではありますので、自然発生的に誕生した可能性も感じますね。 「viva Cuba Libre!(キューバの自由万歳!)」の合言葉で乾杯したことでカクテル名がキューバリバーになりました。 しかししかし。1902年にキューバは

          №008 【クバリブレ】

          №007 【ゴッドファーザー】

          映画「ゴッドファーザー」をモチーフに、1980年代初頭に誕生しました。 ウイスキーとアマレットを組み合わせたシンプルレシピ。 アマレットは愛のリキュールと呼ばれるイタリア産の甘いお酒。シチリア出身で家族愛が強いマフィアのボスに寄せたチョイスですね。 ウイスキーもガツンとした強さと辛さがマフィアのボスのイメージでしょうか。 映画の舞台は1945年頃のアメリカ。禁酒法の中での密輸で荒稼ぎしたであろうニューヨークのマフィアたちですから、その密輸していたとされるカナディアンウ

          №007 【ゴッドファーザー】

          №006 【チェリーブロッサム】

          チェリーブロッサムの創作者は横浜のバーテンダー‘‘田尾多三郎’’さん。大正時代に。 ほどよく強くほどよく甘く、さらに深く複雑な味わいが余韻として広がる美味しさ。これこそ何十年も飲み継がれてきたスタンダードカクテルの深み、です。 ブランデーとチェリーリキュールをベースにした赤いカクテル。 このカクテルは桜の花をイメージして作られたと云われますが、とても濃い赤色なのです。淡いピンク色ではないのです。 私が思うに、創作者が日本人であることがヒントかと。 見たままの桜のイメージ

          №006 【チェリーブロッサム】

          №005 【スカイボール】

          レモンサワーブームで完全に市民権を獲得! か。 なかなかの人気ですね、レモンサワー。地元会津若松市でも「レサワ女子」が夜な夜な闊歩しているとかいないとか。 バーでレサワ女子たちに大人気なのがスカイボールだとかそうでないとか。 文化的・科学的技術競争が激しくなっていた1960年代のアメリカとソ連は、宇宙開発でもバチバチ火花を散らしていましたね。 カクテル「スカイボール」が誕生したのはそんな頃。モスコミュールを世に広めたヒューブライン社が自社ウォッカ「スミノフ」販促のため

          №005 【スカイボール】

          №004 【アメリカンレモネード】

          シンプルなカクテルです。 レモネードと赤ワインをミックスするだけなのです。 このカクテルのためにワインの銘柄を指定するようなことはありません。 ワインの個性を楽しむくらいのポジティブなノリが合うカクテルでしょうか。 ワインの個性に合わせて酸味や甘味の調整をする場合もあるので、まずはレモネードのことをおはなししましょうね。 レモネードは、レモン果汁に砂糖などで甘味をつけて、冷水や炭酸水で割ったものです。 英国風レモネードは炭酸系。アメリカは無炭酸タイプ。アメリカでシュワ

          №004 【アメリカンレモネード】

          №003 【ギムレット】

          ギムレットには気を付けて。 お店によって、まったく正反対の味に仕上げるカクテルなので。 まずはギムレットのこれまでをざっくりまとめましたのでどうぞ。 壊血病に侵されていた船乗りたちが柑橘類の治癒効果を実感しだしたのが18世紀半ば。 イギリス海軍は特に入手しやすかったライムを兵たちに支給しました。 同じくして支給されていたジンと混ぜて飲むスタイルが広まります(ギムレットの元祖)。 しかしライムは超高価なうえに日持ちがしないので扱いがしんどい。 19世紀半ば、そこで

          №003 【ギムレット】

          №002 【カミカゼ】

          カクテル「カミカゼ」はウォッカ、コアントロー、ライムジュースを同量30mlずつ組み合わせたものがオリジナルレシピですが、日本ではよりスタイリッシュにドライに仕上げるレシピが一般的です。 このカクテルに於いてオクターブでは、オリジナルのレシピを尊重しています。 カクテル誕生ははっきりしません。大戦後の横須賀の米兵によって作られたとか1974年ボストンのバーで生まれたとか云われてます。 どちらにせよ考案者の思いは、その味わいから推察できるような気がしました。 神風特別攻撃隊

          №002 【カミカゼ】

          №001 【ブルームーン】

          ブルームーンは妖しい香り。 バイオレット(すみれ)リキュールは媚薬効果を秘めた酒として、17世紀以降フランスで人気でした。その人気にあやかり1890年代にアメリカでリリースされたのが「クレーム・イヴェット」。味も香りもフランス産に似せて作られたバイオレットリキュールです。 当時人気の歌姫「イヴェット・ギルベール」の名前が付けられたリキュール。このリキュールの販促カクテルとして誕生したのが「ブルームーン」だったのです。 ネーミングのインスピレーションは1883年インドネシ

          №001 【ブルームーン】