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43 バレーボール【大学】


私は大阪体育大学という大学へ進学した。

高校バレーで不完全燃焼だった私は入学ガイダンスが終わると、バレーボール専用体育館に真っ先に向かい、バレーボール部に入ろうとしていた。

体育館へ行くと、身長が160センチくらいのゴブリン突撃部隊の中の1人みたいなのが出てきて
「入部希望?あっちに1年生集まってるから。」

と冷たく対応された。
奥の方を見ると新入生らしき集団がいる。

ここで私は改めて気づいた。自分が一般入試で入学して、他の1年生が推薦入学だということに。

入学式の直後だというのに、なにやら楽しげに話している。そう、推薦枠の1年生は3月頃から合宿に参加したりして既にコミュニティが出来上がっているのだ。これがカースト制度か。
同期は、12人いたのだがその内推薦は8人。中には高校3年時、春の高校バレーという全国大会で準優勝した猛者もいた。
そのレベルになるともはやテレビで見たことあるスター選手が目の前に。なんというところに入学してしまったのだ。

私は自分が関西出身で気軽に実家に帰れる、体育教師の免許が取れる、そんなに勉強しなくても入学できそう、1人暮らしがやってみたい等の、蛆虫みたいな理由で大阪体育大学に進学したが、カースト制度という概念をすっかり忘れていた。
なんか、よく見たらみんな身長がデカくてオーラが半端ない。私は身長170センチ程度しかないので、より一層萎縮した。

こんなところで4年間の契約を自ら交わしてしまった私は、初日は周りに馴染めずに周りのトークに愛想笑いでやり過ごすという根暗インキャ特有の必殺技を披露するだけで終了した。


まず1年生の共通認識として上下関係の徹底。

4回生は王様
3回生は人間
2回生は奴隷
1回生はゴミ

と、念頭において行動するように
2回生から教えられた。

そして1番最初に出てきたゴブリン突撃部隊も、3回生の先輩で、バレーをしている人なら誰でも知ってる超名門校出身、決して口答えや気軽に話しかけられるようなエリートゴブリンだということが判明した。


先に述べた上下関係は割と的を得ていて、練習は実力のあるメンバーを除いて、練習には参加できず、1年生はコートに付いた汗を拭いたり、ボール拾い、ドリンクつくり、ストレッチや先輩の練習後のケア、声出しに全力を注いだ。
そして、20時30分に練習が終わると2回生の指導担当に全員呼び出されて反省ミーティング。声が小さいだのボール拾いをもっと早くやれだの、時にはビンタされながら30分ほど奴隷からの指導があり、21時頃からやっと自主練の時間にボールが触れるというスケジュールだった。


これ、もし大学の近くで1人暮らしじゃなかったら雑用して怒られて帰るだけやん…と被害妄想を膨らませながらも、バレーボールは絶対に4年間続けてやると意地になっていた。


そして入学して2週間後に、
更なる地獄が待ち受けていた。

こんなことを書いてることが3回生にバレたら
マジでブッ56されます。

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