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41 バレーボール【受験】

中学校で2年間ハリケーン熱血オヤジにしごかれた私は、受験に頭を悩ませていた。毎日ハリケーンに抵抗するのがやっとで、勉強などロクにしていなかった。

ということで7月に部活を引退してから塾に通わせてもらった。

すると、定期的に家のポストに投函されている進研ゼミの広告に掲載されている作者が全く分からない「進研ゼミを始めたら勉強だけでなく何故かスポーツも恋愛も上手くいっちゃう」系の漫画のように勉強は絶好調となり、3年の1学期の成績がほぼオール3だったのに2学期にはオール4時々5という、自分の中の勉強という眠れる獅子が目覚めるどころか朝活をし始めた。

これは、バレーボールよりも勉強を極めた方がいいのでは?と通知表を見てニヤニヤしながら、あんなに熱中していたバレーボールを一瞬で切り捨てようとする15歳の私はすこぶる調子に乗っていた。


バレーボールは特別うまいわけではなかったが、運動神経には自信があり、大抵のスポーツは適応できるので自分がスゲーやつなのではと思っていた矢先の11月頃、熱血ハリケーンオヤジから突然部室に呼び出され、

「お前に、推薦でうちのバレーボール部にきてくれっていう高校が1校あるから1回練習に行ってみろ」

と言われた。


勉強が絶好調だというのにバレーボールでも私は必要とされるのか。すっかり有頂天の私はそれから適度に勉強し、親に高いお金を出してもらって塾に通った意味を見出すことが出来ないまま、名前が書けたら合格するというほとんど出来レースみたいな推薦入試を終えて某公立校に入学した。


しかし、入学してからふと思った。県内でも特に成績を残せていない私がなぜ推薦などに引っかかったのか。同じく推薦で入ってきた、私より格段にバレーが上手い同級生に聞いてみるとどうやら、県内1位のセッターに推薦の声をずっとかけていたが、その子が急遽他の私立校の推薦にシフトチェンジしたらしく、推薦枠に欠員がでたようで同じセッターの私に声がかかったようなことが判明した。

簡単に言うと毎年推薦の数の枠は決まっており、セッターの欠員が出たからとりあえず呼んでもらった感じらしい。


まぁ…自分が上手いとは思っていなかったので不思議だったが実際に聞くと複雑な気持ちである。失礼な言い方だが、私が入学した課は各部活のスポーツ推薦の子しかおらず、3年間同じクラスメイト、スポーツの成績を除けばクラスの雰囲気も授業内容も動物園に等しい。


もしあのとき勉強を頑張っていたら、もしかしたら…私は歴史に名を残す発明や発見をしていたかもしれない。


なわけないだろ!自惚れるな、自分よ。

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