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生物クイズ#6【階層的遺伝子発現制御】


問題

5つの遺伝子が階層的に遺伝子発現を制御する系を考える。ある階層には1つ上の階層の遺伝子数以上(同じでもよい)の遺伝子が含まれるとする。ここで、階層の数とそれぞれの階層の遺伝子の個数で1つの階層構造が定義されるとすると、何通りの階層構造が考えられるか。

DALL-Eにより生成

答え

7通り

解説

この遺伝子発現制御関係内での遺伝子の位置を箱で表現すると、組み合わせの場合の数は以下のように7通りになる。

7通りの遺伝子発現制御構造

iPS細胞が4つの山中因子の導入によって分化状態から未分化状態へ戻ってしまうほどの大きな状態変化を引き起こすように、このようなマスターレギュレーターとなる遺伝子が下流のより多くの遺伝子の発現を調節するという遺伝子発現制御ネットワークは実際の生物にも存在すると考えられる。(実際にはフィードバック調節なども働く、より複雑なものと考えられるが…)

ちなみに、数学で演算の入った集合の対称性を調べる分野である表現論において、上にあげた箱で構成される図形はヤング図形と呼ばれる。ここでは5個の遺伝子の発現制御関係を調べたが、一般にnの場合、n文字を並び替える操作である置換をすべて集めた群であるn次対照群Snの複素数上の、それ以上分解されない既約表現はヤング図形の個数だけあることが知られている。組み合わせ論的な図形の背後に群の表現が隠れている点が興味深い。

参考文献

5つの遺伝子が形成する階層構造を検討し、7通りの構造が考えられる。これは遺伝子発現制御ネットワークの理論で、iPS細胞のように、マスターレギュレーターが他遺伝子を制御する現象を表現。ヤング図形が関連。

ChatGPTを用いて要約
サムネイル画像はDALL-Eにより生成