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システム生物学~ミクロとマクロの統合~

More is different.
多は異なり

Philip W. Anderson

物理学者が、還元主義(量子論?)により自然界をすべて明らかにしようとする思想に対し、その限界を説き、階層構造を持つ自然に対してその創発特性、システムとしてみる重要性(熱力学、統計力学?)を強調した言葉。

生物も還元主義(分子生物学・生化学)が重視されているが、それだけでは明らかにならないことが多い。
生命には分子⇔細胞⇔個体といった階層構造があり、それぞれ下の階層と上の階層が整合性を保って可塑性と頑健性を兼ね備えるよう進化したシステムを構成している。
個々の物質の特性と共に、その集団としての働き、局在、時間パターン、ばらつきなども重要な働きをしている。

もっと過激な言い方をすれば、これらのパターンが情報を担い、分子、ネットワークはその媒体にすぎず、機能を担っているのはシステムである。
分子、ネットワークは進化の歴史を反映しているものであり、必然ではないので、置き換えも理論上可能であるからだ。

現代は次世代シークエンス、イメージング、相分離、CRISPRスクリーニング、オミクス解析、single cell解析、ネットワーク解析、機械学習を用いた大規模モデリングなど、ミクロとマクロを統合するような分野、概念、技術が次々と生まれてきている

特に、系の特性とそれを生み出す原理を解明することを目的とするシステム生物学は、生物の動的な側面を捉えてその普遍性に迫る研究分野であり、これらの手法を用いて発展していくことが期待される。

参考文献

生物は還元主義が重視されているが、それだけでは明らかにならないことが多い。生命には分子⇔細胞⇔個体といった階層構造があり、進化したシステムを構成。分子、ネットワークはその媒体にすぎず、機能を担っているのはシステムである。

ELYZA DIGESTを用いて要約
サムネイル画像はとりんさまAI(@trinsama)により生成