朝焼けエピローグ -1989
1989年の始まりは、僕の当ても無くただぼやけた遠く向こう岸を眺めるような暮らしの最中で、就きたかった職業も半ば諦め、吉祥寺のバーで朝まで働き昼に寝るアルバイト生活をぼんやり送っていた。バーテンダーになりたかったわけではない。きっかけはなんとなく出来そうな気がしたから、そんなとこだった。与えられた仕事はそれなりにきつくいつまでも忙しかった。それでも毎晩笑っていられたのに、その笑いは刹那に切り取ったそこだけのもので、日々の糧になることはなく、自分のだらしなさに対しあざ笑っても