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cheerioの超個人的レビュー第20回『荻野目洋子:ねえ』

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今回は1991年12月16日に発売された荻野目洋子さんの23枚目のシングル『ねえ(作詞:みかみ麗緒 作曲:石川正 編曲:須貝幸生・神長弘一・井上龍仁)』について、つらつらと書いていきます。

荻野目さんは1984年に『未来航海』でデビュー、その翌年の7枚目シングル『ダンシング・ヒーロー』で有名となります。当時の僕も『ダンシング・ヒーロー』がヒットするまでは、よく存在を知らなかったような気がします。で、特に好きでもなく嫌いでもなく、いわゆる「流行歌手」として見ていました。ちなみに『未来航海』は大人になってハマった曲です。

それまでのジャニーズからおニャン子によって男性アイドルから女性アイドルに興味の対象がシフトした僕にとっては、少しお姉さんというか何というか、興味を持つ対象にならなかったのは事実です。僕の基準では少なくともおニャン子前、おニャン子以降と分けることができます。

そして、今回の『ねえ』です。

この曲は1991年12月発売ですので、荻野目さんがデビューしてから7年半後。

荻野目さんをリアルタイムで注目したのは、この曲が初めてでした。1991年、高校2年生だった僕はすでにアイドルからロックへ興味が移っていた時期。ジッタリンジンが好きだったんですが、ジッタリンジンもメジャーでの表立った活動はすでになくなっていて、僕はジッタリンジンの影響からStray CatsやGeorge Thorogoodなどにハマっていました。その頃テレビから流れる邦楽はバンドブームもすっかり落ち着いてしまって、かなりつまらなくなっていたように思います。ちょっと調べたら『それが大事』とか、あのあたりですね。

超個人的に言うと、バンドブームから出てきたバンドの多くは91年92年あたりで行き先を見失い、日本のロック全体から見ても勢いとしては一瞬窪んでいます。アイドルもそろそろ冬の時代に突入。時代はロック色の少ないバンドやリバイバルなどなど。リアルタイムの音楽は全てつまらなくて、今後どうなるんだろうと思っていました。(この時代の音楽のファンの方、ごめんなさい)

そして『ねえ』はそんな時代にテレビで見て、目と耳を奪われた曲です。おそらく録音とは違ってテレビ用の演出でしょうが、後ろの女性ギタリスト、女性ベーシストを随えて伸び伸び歌う荻野目さん。その辺のバンドよりよっぽどカッコいい。時期的にリンドバーグとかいたけど、比較にならないほどカッコよくてセクシー。(リンドバーグ及び渡瀬麻紀ファンの方、すみません)

次のシングル『STEAL YOUR LOVE』もめちゃくちゃカッコいい。作曲はバンドブーム以前より活動されている44マグナムの広瀬さとしさんです。

この辺りの時期の荻野目さんは月光恵亮さんがプロデュースをされています。バンドブームで出てきたバンドやシンガーソングライターより、よっぽどカッコいい音楽。大人が面白いことをしようとするときに、すでに個性(主張)を持っているアーティストよりもアイドル(及びアイドル出身シンガー)を使った方がよっぽどカッコよくなる好サンプルではないでしょうか。そして上手く乗り切った後にはアーティストになっているという。

記憶が定かではないのですが、この曲の荻野目さんはテレビ番組でロック系に混じって出演していたような気がします。そして全く負けてなかったような気がします。

そして、かつてのアイドル像から変化を遂げたこの時期の荻野目さんのアルバムのタイトルが『流行歌手』。皮肉というか、上手いですよね。当時の日本の音楽界へ向けた強力なアンチテーゼに感じます。

90年代半ばまではアイドルに限らずバンドやアーティストも音楽性が毎年毎年急激に変化するような時代でした。ギター一つとっても音色の質は変わってきたし、シンセは言わずもがなです。

それにしても、です。

荻野目さんのデビュー時期と7年半後の差は今でもドキドキしてしまいます。

現代の特に2000年代に入ってからの音楽って、多少の変化はあっても劇的に変わるようなことはなくなったと思います。ハロプロ関係(ごめんなさい、個人的にはアンチハロプロです)やAKBグループなど歴史が長いグループでも7年半でこれだけ音楽性が変わることはないのではないでしょうか。機材は進歩しているけど、音楽的には出尽くしたんでしょうか?最近のアイドルのキャラを売るような流れは好きではないです。

まあ、それは置いといて。

時代を経た今この時期に『未来航海』と『ねえ』を聴き比べて、その7年半の移り変わりを思うとき、ちょっとした感動を覚えるのです。

ショーパンの荻野目さん、カッコよくてセクシーです。

ところで、後ろの2人の情報、どなたか教えていただけないでしょうか。特にギターの方がカッコよすぎで。。。

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