cheerioの超個人的レビュー第9回『うしろゆびさされ組:ジャンケンポンのヒロイン』
今回はおニャン子クラブから生まれたわちゃわちゃユニット、うしろゆびさされ組の1stアルバム『ふ・わ・ふ・ら(1986年6月5日発売)』に収録されている『ジャンケンポンのヒロイン』について書いてみたいと思います。
うしろゆびさされ組は高井麻巳子さん(会員番号16番)と岩井由紀子さん(会員番号19番)からなる二人組のユニットです。当時のアニメ「ハイスクール!奇面組」の主題歌用のユニットとして結成されました。アニメのキャラに似ている二人を選んだんでしょうか。子ども心に「デコボコなコンビだなぁ」なんて思っていました。
うしろゆびの曲はとにかくわちゃわちゃした感じでしたね。シングルのタイトルも『バナナの涙』や『象さんのすきゃんてぃ』とかぶっ飛んでました。超個人的に言うとアイドルのわちゃわちゃ系はあんまり得意ではなかったんですが、うしろゆびは何となく聴いていました。人気があって露出が多かったのか、アニメの主題歌だったので何となく追いかけていたのか。
そういうわけで、1stアルバムも同級生が買ったLPをダビングさせてもらって聴いていました。シングル3曲を含んだ全10曲。やはりシングル以外の曲が好きでしたね。
ちょっと余談ですが、このアルバムのうち2曲は俳優で有名な陣内孝則さんが作曲を担当しています。当時は意識していませんでしたが、高校出たくらいでTH erockersに出会い、40を過ぎた今でも聴き続けている身としてはちょっと意外というか面白味を感じます。
さて、今回の紹介曲『ジャンケンポンのヒロイン』です。作詞は秋元康さん、作編曲は後藤次利さんです。
アルバムが6月発売だったせいか、アルバム全体の印象が夏なんですよね。ちょうどこの年の夏休みに佐賀から長崎に転校したのでよく覚えているのもありますが。
また余談ですが、当時長崎ではテレビ局が少なく、夕やけニャンニャンは放送されていませんでした。ですので日本全国的には長崎県はおニャン子ファンの極端に少ない県なのではと推測します。笑っていいともでさえ夕方の4時の放送されていました。
さて、『ジャンケンポンのヒロイン』に話を戻して。
「赤や黄色や緑のシグナルみたいな服着た熱帯魚が群れなす公園通りの午後」
という歌い出しだけで、もう好きでした。歌詞の設定はそんなことないんですが、個人的には夏の夜のムードを感じます。色とりどりの熱帯魚という時点で、ネオン的な色合いをイメージしてたんですね、小学生だった僕は。
女友達同士でどちらが素敵な彼に声をかけるか、ジャンケンで決めましょう、的な内容なんだけど、さっきの歌い出しのところと、2番の歌い出し、
「いつも大人のフリして経験あるようなそぶりで見栄を張ってた私達」
の部分がミソだと思います。
主人公の少女たちはジャンケンで今まさに動き出そうとしている大事な場面なのですが、ちょっと俯瞰的に見れば、少女たちも公園通りに群れをなしている他の人たちと一緒で、少女たち以外の人もそれぞれ大事な場面はある、この曲ではたまたまこの2人の少女のことを歌っているんだ、ということが示唆されているのでは、と思います。
1番と2番の歌い出しの歌詞が、全体と個の絶妙な距離感を表現しているように感じます。
メロディも何か夜っぽいんですよね。ネオンな感じ。(行ったことない人が想像する)上海の夜、的な。
やっぱり色なり風景なりを想像させるような曲が好きなんですよね。
それにしてもその十数年後のAKBのジャンケン大会の発案に多少なりとも影響を与えていたりするのでしょうか。秋元さんはおニャン子に関してはプロデューサーではなくスタッフの一人に過ぎなかったということですが。でも、ジャンケンはこの曲の歌詞くらいの個人的な間柄の関係の中だけで留めておいた方がよかったんじゃないかと思いますね、個人的に。
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