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cheerioの超個人的レビュー第3回『福永恵規:10月はさよならのパームツリー』

第3回目のレビューは、おニャン子クラブ会員番号11番、福永恵規さんの名曲『10月はさよならのパームツリー(作詞:麻生圭子 作曲:小室哲哉 編曲:大村雅朗)』です。

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福永恵規さんの1stアルバム『SPLASH(1986年11月14日発売)』に収録されています。

当時小学6年生だった僕が生まれて初めて自分の意思で買ったアルバムです。我が家にはレコードプレイヤーはなかったので、ミュージックテープによる購入でした(その後大人になりCDで再度購入)。

このアルバムを聴くと、ひんやりと澄んだ空気を思い出します。発売と同時に購入して冬が終わるまでずっと何度も繰り返して聴いてたからでしょうね。本来アルバムとはそういう聴き方をするものでしょうけど、最近はなかなかそういう聴き方をする機会もなくなったので、12歳の頃にちゃんとした聴き方を経験していて良かったと思います。

当時、このアルバムの紹介として、ニューミュージック界のアーティストが制作に関わっている、といったものがあったと思います。子どもだったので、そんなことを言われても何一つ理解していなかったのですが、それでも何となくアイドルのアルバムっぽくないなとは感じていました。何というか、媚びが全く感じられなかったのです。

そして名曲揃いの中、『10月はさよならのパームツリー』です。これは歌詞よりも曲の良さに惹かれていました。もちろん小室さん作曲ということはまだ意識していませんでした。

時代的にいうと、小室さん作品は同年1月に渡辺美里さんの『My Revolution』、同年7月に中山美穂さんの『JINGI・愛してもらいます』が世間的には認知されていましたが、TM NETWORKがヒットするのはその翌年ですので、まだまだ一般のしかも片田舎の子どもには意識するまでには至っていません。それでも一番響いたんですよね。ちなみに前述の2曲も作曲が小室さん、編曲は大村雅朗さんのコンビで同一です。大村さんのアレンジがメロディの強さにオブラートをかけて絶妙なんです。特に『10月は〜』については自然と音が身体に染み込んでくる感じです。その季節感と同じで澄んでいるんですよね。

歌詞は前回のレビューと同じ麻生圭子さんですね。今回も男女が別れるその瞬間を美しく切り取っています。別れる瞬間の言葉が出てこない場面ということでは一緒ですが、今回は女性も大人になっているようです。どちらかというと今回の方が共感という意味では強く響いてきます。音楽なのに静寂を感じます。空気感としての静寂です。

福永恵規さんの歌声も澄んでいて素敵です。おニャン子の中では珍しい東京都出身ということもあり、非常に洗練されてスマートな印象を与えます。アイドルとしてはクセがないというか、もったいなかったのかもしれません。でもそのスマートさに憧れを抱いていました。おニャン子初期メンバーの中では圧倒的に推しでした。

推しの経緯としては、同年3月発売のおニャン子本体のアルバム『夢カタログ』に収録されていた『LINDA』という曲が福永さんのソロ曲だったんですが、これが最高に良くて。我ながら渋い小学生だと思いますね。で、同年5月待望のソロデビュー!

・・・だったんんですが、このソロデビュー曲がどうも福永さんの魅力に合わないというか、あんまりピンと来なかったんですね。あーあ、って感じで。だけど2枚目シングル『ハートのIgnition』が個人的な福永さんのイメージにドンピシャだったんですよ。その満足感を得たままのソロアルバムです。

結果としては大満足。大人になっていまだに聴き続けているアルバムとなりました。

ただ残念なのが・・・髪型だけですね。聖子ちゃんカットというか、そういう感じが結構強くて。同じおニャン子の国生さんや美奈代さんたちのポニーテールに比べると野暮ったいんですよね。田舎の小学生はそんなことを考えていました。

聖子ちゃんカットとポニーテールの時代考証とか面白そうですね。

さて、そんな感じで、このアルバムは何回も繰り返し聴きました。

その結果、翌年のTM NETWORKのブレイクの時にまんまとハマってしまうことになります。




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