東京と京都、失うと困る店と味

『遺したい味 ーわたしの東京、わたしの京都ー』(平松洋子、姜尚美、淡交社、2021年1月)読了。

画像1

 食関連のエッセイストの平松さんと京都ベースの食関連で強い姜さんとの間で、それぞれが東西で「遺したい」と思う店と食べ物を紹介しあう往復書簡形式で雑誌連載したものをまとめた一冊。

 『あんこの本』『京都の中華』というしっかりした取材と考察、とくにマチと店の関係などにも踏み込んだ素晴らしい本を書いている姜さんが書いているだけに、著者名買いとして読んでみた。正直な感想としては、もっと姜さんがきちんと取材した店、食べ物の文章をもっと読みたい、と自分は感じた。平松さんの土俵で表現した都合だろうが、店や食べ物より自分が前に出過ぎた文章なのが残念だった。一つ一つの紹介が文字数少ないだけで朝過ぎて、不満が残った。

 東京も京都も12だけしか紹介しきれていないのは、どっちも不完全燃焼な半端なモヤモヤが残った。自分なら東京はウエスト(銀座)京都は菱岩(新門前通り)をあげておきたい。とはいえ、選ばれたチョイスはどこれこれも素晴らしい。

紹介されてお店リスト
【東京編】
1 神田まつや(千代田区神田須田町)
2 たぬき煎餅本店(港区麻布十番)
3 しみずや(杉並区西荻)
4 どぜう飯田屋(台東区西浅草)
5 カフェ・バッハ(台東区日本堤)
6 ぽん多本家(台東区上野)
7 四谷 志乃多寿司(新宿区四谷)
8 隨園別館 新宿本店(新宿区新宿)
9 シンスケ(文京区湯島)
10  (米)深川 伊勢屋(江東区富岡)
11    御料理山さき(新宿区神楽坂)
12   ドーカン(千代田区麹町)
【京都編】
1 上七軒ふた葉(上京区今出川七本松)
2 鶴屋寿(右京区嵯峨天竜寺)
3 進々堂 京大北門前(左京区北白川)
4 平野とうふ(中京区姉小路通麩屋町)
5 鳴海餅本店(上京区下立売通堀川西入)
6 冨美家(中京区西ノ京小倉町)
7 ひさご寿し本店(中京区河原町通四条)
8 キートス(中京区壬生)
9 イノダコーヒ三条支店(中京区三条通堺町東入)
10   グリル富久屋(東山区宮川筋)
11    すぐきや六郎兵衛(北区上賀茂)
12    一文字屋和輔(北区紫野今宮町)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?