父記録7/10〜12


7/10
晴れ、暑い
今日も目をぱっちり開けていた。
「お父さんうちに居ないから、喋る相手居ないから、今までよく二人で喋ったなあと思ったわよ。うるさかったかしら〜?」
母がいたずらっぽく父に話しかけた。
「お手手拭こうかー?」
父の手はいつも固く握りしめられている。
「お父さんの右手。よく頑張ったね、たくさん作ったね。お疲れ様右手。」
話しかけながら父の拳と腕を揉む。
母が笑いながら繰り返す。
「お疲れ様、右手!」

7/11
母「お父さんが喋るとみんな嬉しいのよ」
看護師さん「村田さんは人気ものですよ〜」
私「お父さんはどこでも人気ものだねえ」
母「面白い写真があるのよ〜お父さんと朋ちゃんの。持ってきたら?」
看護師さん「えー見たいです!」

7/12
母は休み。担当の先生のお話しを聞く。
このまま点滴で行くか、経管栄養もう一度トライするか。
点滴がズレて漏れ、内出血してしまうので右腕、左腕、右脚、左脚と変えながら行っている。
転院先については栄養の摂り方がもう少し定まってから考える方がよいかと思う。
とりあえず特養は一旦退所した方がいいかもしれない。
とのこと。

話が終わって退室しようとすると先生が
「お父さま、おまんじゅう、お好きなんですか?」
と言った。
「え…あ、はい。おまんじゅう好きです。甘いものはみんな好きで」
「そうなんですねえ、『おまんじゅう』っておっしゃったんですよ、おまんじゅう。ふふふかわいい」
先生が笑った。
おまんじゅう。

おまんじゅう、もなか、おだんご、だいふく…
父は若い頃からあんこが大好きでお客さんからもよく差し入れにもらったなあ。
おしるこなら、ちょっぴり舐められたりするかなあ。

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