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福太のこと(消化管ポリポーシス)

福太、ジャックラッセルテリア、オス。
もうじき8歳。
食いしん坊の甘ったれ。
食い気と構って欲しい気持ちで出来ている。
基本的に元気だが、子犬の時からたまに吐く。

2歳くらいの時に一度急に衰弱して、バリウム検査までしたら木のボタンが小腸に詰まっていた。
木はレントゲンに映らない。開腹手術をした。

よく吐いていたのはボタンのせいだったのか、と家族一同納得した。

3歳くらいの時、血便が出た。
直腸にポリープが出来ていた。
良性腫瘍で、切除手術で血便は止まった。
手術から2年後くらいに、また血便が出始めた。
またポリープ。良性。切除。
一年半後くらいにまた血便。ポリープ。良性。切除。
そして一年後の今わまた血便、ポリープ。

2年前くらいから私は「消化管ポリポーシス」というジャックラッセルテリア特有の遺伝病を疑っていた。
この病気は2020年くらいに発見されたもので、あまり研究が進んでいない。

2021年に私はとあるジャックラッセルの難病治療の為のクラウドファンディングを支援した。
当時は病名を流し読みしていたが、遡って調べてみるとこの子も消化管ポリポーシスだった。
飼い主は関西の方で、この病気を発見した岐阜大学の教授がいる病院で手術をしたようだが、この子の予後は分からない。

主治医に相談してみると「消化管ポリポーシスである可能性もあります。」とのことだった。
切除手術する度に「もう出来ませんように。消化管ポリポーシスではありませんように。」と祈っていた。
ごはんにも気をつけて、漢方も取り入れた。
一時はポリープが減少したりもしたが、再発。
ステロイド消炎剤とメトロゾニダールが処方され週一で血液検査。貧血状態と血便が続き、今までで一番大きな直腸ポリープが見つかった。
4回目の再発で、主治医が「大学病院で調べてみてもいいかもしれません」と言った。

紹介を受けて日本動物高度医療センターを受診。
検査過程で胃にも大きなポリープが見つかった。
遺伝子検査と胃カメラを追加。
胃のポリープは小腸へ向かって細くなっている部分に出来ていた。
「このポリープが食べたものの流れを塞いで吐き戻すのかもしれません。貧血はおそらく胃のポリープからの出血でしょう。そして、仰っていたように消化管ポリポーシスである可能性が高いです」

過去3回の切除手術ではポリープは良性腫瘍だった。
良性であれば育つスピードは遅いが、切除する度に育つスピードが早まる傾向があるという。
そして消化管ポリポーシスであれば、あらゆる粘膜にポリープが出来る。取ってもまた出来る。あちこちに出来る。出来るスピードが早くなってゆく。

「イタチごっこです。いつか切除出来ない場所にポリープが出来るか、手術費用の面で難しくなって諦めるというパターンが多いです」

検査から2週間。
胃のポリープと直腸ポリープの生検、そして遺伝子検査の結果連絡があった。

「遺伝子検査の結果、消化管ポリポーシスで間違いありません。そして直腸ポリープの検査結果ですが…残念ながら悪性でした。直腸腺がんです。早急に手術した方が良いでしょう。」

胃のポリープについては直腸腺がん手術の予後を見て考えましょうとのこと。
こちらは良性ではあるものの、サイズが1センチと大きく、切除範囲と方法によってはQOLが著しく下がる可能性があるとのこと。

ひとまず、直腸腺がんの手術は明日6月4日。
手術後は5〜7日の入院となる。

6月5日は福太8歳の誕生日。
毎年バースデーケーキを注文してお祝いしてきたけれど、今年は2日早めて手作りごはんでお祝い。
小松菜、舞茸、豚レバー、さつまいも、鹿肉をペーストやみじん切りにして水切りヨーグルトとブルーベリー、庭で採れた桑の実で飾り付けてケーキ風にした。
もりもり平らげてからバースデープレゼントのおもちゃで元気に遊ぶ福太。
こんなに元気なのにな。
癌で遺伝病なんだよな…
毎晩元気で長生きするおまじないをかけてたのにな。

でも、まだ分からないよね?
ミラクルを起こすかもしれないよね?

正直、どこまで手術すべきなのか分からない。
福太は今まで五度の全身麻酔手術をしてきた麻酔マスターだけど、毎回元気に帰ってきたけど、小さな体に度重なる手術は負担だと分かっている。
経済的な問題もある。
ペット保険に入ってはいるものの、ここまでの検査や手術となると保険は屁の突っ張り程度にしかならないのだと今回思い知った。

何が正解かは分からないし、たぶん正解はないんだろう。
父の時にも思った。
本人の明確な意思が確認出来ない以上、私が考えて感じて決めたことを最善とするしかないのだ。

今回の手術はする。
胃の方はどうするかまだ分からない。
出来るだけ本人が楽しく生活出来るように。
福太の顔を見ながら考える。

犬猫の漢方食を勉強している友人や、腫瘍を患った愛犬を持つ友人、ドッグカフェを営む友人に療法食のアドバイスをもらった。

福太、元気に帰ってくるんだよ。
おいしくてからだにいいごはんを作って待ってるよ。
かわいく楽しく、長生きしようね。

バースデーごはん
たまごちゃん
福太入院の間、お兄ちゃん子のさぬきが心配





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