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父記録 2023/7/2【リフレイン】


晴れ、真夏のよう。
今日は母はお休み。
父の呼吸は今日もゴロゴロと鳴っていた。
暖かいおしぼりでそっと父の顔を拭く。
頬におしぼりを当てるとちょっと気持ちよさそうな顔になった、気がした。
頭を拭くとちょっと顔を顰めた。
耳を揉む。
足がタオルケットの中で絡まっていたので直す。竹竿みたいな脚。
足も暖かいおしぼりで拭いてマッサージした。
首の付け根が凝っていた。揉む。
少しゴロゴロが小さくなった気がした。

帰り際、ナースステーションの前を通ると看護師さんが追いかけてきた。
「喋れました?」
「いえ…」
「昨日ね、ちょっと喋ってくださったんですよ。お身体拭きながら「大丈夫ですかー?』って訊いたら小さい声で『だいじょうぶー』って。」
「ほんとですか…!今日はいつもと同じ感じで…喋りそうな気配もなかったですけど、そうですか」

「やっぱりムラがあるんですかねえ。久しぶりだったんで、私たちもうれしくなっちゃって。」
若い看護師さんは目をきらきらさせて笑った。
そっと手を握ってもらったような気持ちがした。

「久しぶりだったんで、私たちもうれしくなっちゃって」
その言葉を頭の中で何度も何度も再生しながら仕事場に戻った。

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