私が前向きな気持ちになれた本 5選
読書に適しているタイミングはいつでしょうか。
異論はあると思いますが、私にとってそれはネガティブな感情を抱えている時です。
もちろん、単純に娯楽のための読書や、知識や情報を得るためにページを開くこともあります。
しかし、自分がつらい時、傷ついている時に読んだ本から何度助けられたかは数えられません。
人はネガティブな感情を抱えている時、救いを外側に求めます。
そんな時に寄り添ってくれた友人に救われるように、本からのメッセージにも同等の効果があると思うのです。
今回は私にとってのそんな本たちを紹介させてもらいます。
『うらおもて人生録』 色川武大
本書は筆者の色川武大氏が「劣等生」に向け書き記しているものである。
まずこの時点で素晴らしい。
本というのは弱者に寄り添うものだという私の持論を補ってくれる。
人生経験が豊かな色川氏(阿佐田 哲也名義の麻雀小説の方が有名かも)が、人生における勝ち負けなどを語ってくれる。
フォームを大切にする、など色々なメッセージを語ってくれるが、その語り口が良い。とにかく優しい。
肩の力がふっと抜けるような、生きることが少し楽になるような、そんな一冊です。
『急に具合が悪くなる』 宮野真生子・磯野真穂
こちらの一冊は、哲学者と文化人類学者の女性二人の往復書簡という形で構成されています。
がんを経験した哲学者が病気になるということを通してお互い学者という立場から10通の手紙のやりとりをする。
最初はそれぞれの立場から意見の交換をするほんわかとした内容なのだが、途中作者の一人が本当に急に具合が悪くなってくる。
第5便ぐらいからの内容が熱を帯び、まさに魂のやりとりとなってきます。
生きること死ぬこと、出会いと別れ、そんな壮大なテーマに真正面から向き合う二人の姿に読みながら私も震えてしまった。
自分の人生を引き受ける。
力強い宣言であり、背筋が伸びる思いになります。
『本日は、お日柄もよく』 原田マハ
主人公が前向きで一生懸命な物語はいくつもあるが、今回はこちらを選出しました。
スピーチライターという職業を題材にしているだけあって、言葉の力、言葉の可能性を強く感じる一冊。
一貫して言葉の力をテーマで扱っているだけに「ほんとうに弱っている人には、誰かがただそばにいて抱きしめるだけで、幾千の言葉の代わりになる」という台詞も印象に残る。
そして私はハッピーエンドの物語が好きだ。
前向きになりたいと思うときは、特に。
『かもめのジョナサン』 リチャード・バック
1970年に発表された本作を、私は多感だった中学時代に読んだ。
自由とかそういう概念が大好きだった当時は、ここで描かれる精神的な自由が見事にハマったのを覚えている。
その後2014年に4章が追加され「完成版」として発売されたのを知り、大人になってからこちらを読み返してみた。
相変わらず読みやすく、精神的な自由だとか、本質だとか、信念だとか、生き方について描かれていた。
自己啓発的な見方や、宗教的な解釈で語られることもある本作だが、私は単純に寓話としてよくできてると思う。
『その日のまえに』 重松清
命を扱う作品には悲しみが付随する。
誰しもに訪れる「その日」をテーマにした連作短篇集。
「死」にスポットを当てることで、相対的に「生」の在り方を考える。
悲しくて優しい。
そんな前の向き方があってもいい。
おわりに
いかがでしたか。
今回「前向きな気持ちになれた」という抽象的なテーマにしてしまい、選出するのに苦労しました。
私は過去も今も、そしてたぶんこの先も、何度もダメになりながらそれでも生きていくのだと思います。
そんな時に支えてくれる本と共に、少しでも前向きな気持ちになれたらなと思っています。
皆様の日常も前向きな気持ちになりますように。
最後まで読んでくださりありがとうございます。サポートいただいたお気持ちは、今後の創作活動の糧にさせていただきます。