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ブックレビュー 【初秋】

ロバート・B・パーカー(1932~2010)

原題 『Early Autumn』


「強くなりたい、タフでありたい」
そんなことを思ったら、ハードボイルド小説を読むべきだ。

本作は私立探偵スペンサーシリーズの7作目。
日本でも特に人気のある作品。
ちなみに私はシリーズ4作目の「約束の地」から入ったが、
「初秋」から入っても問題ない。いや、間違いない。

この作品が合わなければパーカーとは合わないと思う。


それにしてもAmazonさん。
パーカー作品のkindle化、切に希望しますよ!
絶版ばかりじゃないですか。
私が生きてる間にお願いしますね。

さて、ハードボイルドの定義とか細かいことは(今回は)置いといて、
なんなら、あらすじなんかも省いちゃいます。
あらすじならWikipediaでもいいし、
各サイトから購入しようとする時に読めます。

なので今回は(今回だけですよ、たぶん)あらすじすら説明なしで、
抽象的な感想のみにします。

ただ、物語を読んだ後に残るのって、
あらすじよりこういうものだったりします、そもそも私は。


この本の大きなテーマは、

「自立」するということ


すごく乱暴にあらすじを言うなら、
15歳の少年を主人公のスペンサーが預かり、
彼を男にする(自立することを教える)って話です。

そのためにスペンサーがすることが、

  • ジョギングをする(体を鍛える)

  • ボクシングを教える

  • 大工仕事を教えて一緒に家を建てる


どうです?マッチョですよね。
すごくシンプルです。

昨今も「筋肉は正義」とか、
「筋トレは全ての悩みを解決する」みたいな主張がありますね。

たぶん、それと一緒です。
でも、そこがいいんですよ!

親から愛されず、なんの関心ももてない少年(ポール)を、
まずスペンサーは(文字通り)鍛えます。

その理由がこれです。

得意なものがなんであるか、というより、
なにか得意なものがあることの方が重要なんだ。
おまえにはなにもない。なににも関心がない。
だからおれは、おまえの体を鍛える、丈夫な体にする

「初秋」p.167


「それでどうなるの?」とポールが訊ねると、
スペンサーは自立するためだと答える。

「自立心だ。自分自身を頼りにする気持ちだ。自分以外の物事に必要以上に影響されないことだ」


こんな感じで二人の修行が物語の大筋である。
もちろんこれだけではないし、二人の関係性、
お互いがお互いを尊重して信頼していく過程が素晴らしい。



現在、私は失業中で就活もしている。
仕事が決まらないと当然自信も無くなるし、自分が嫌になってくる。
今の私に必要なのはここでの執筆ではなく、
もしかしたらスペンサーのような存在なのかも知れない。

最後まで読んでくださりありがとうございます。サポートいただいたお気持ちは、今後の創作活動の糧にさせていただきます。