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読書備忘録

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本を紹介したnoteをまとめています
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2020年6月の記事一覧

合唱 岬洋介の帰還 (13-50)

順調に読書が進み、あっという間に先日借りてきた本も3冊を読み終えてしまいました。 読み終えたのは中山七里氏の作品です。中山氏というとデビュー10周年を記念して出版社横断で前代未聞の12ヵ月連続刊行企画を実施されていて、この作品は4作目となります。 幼稚園で幼児らを惨殺した直後、自らに覚醒剤を注射した“平成最悪の凶悪犯”仙街不比等。彼の担当検事になった天生は、刑法第39条によって仙街に無罪判決が下ることを恐れ、検事調べで仙街の殺意が立証できないかと苦慮する。しかし、取り調べ

カケラ (12-50)

夫が早朝からゴルフに出かけたので、ちょっと横になったら2度寝をしてしまい、慌てて洗濯しました。月曜日の朝、皆さんは順調にお過ごしでしょうか? さて予約を入れた本で、どうも1番に借りることができたのが、昨夜読み終えた湊かなえ氏の新刊です。 このところ期待が大きいせいか、ちょっと残念な気持ちが大きい最近の著者の作品たち。今回こそはという思いで読み進めました。 美容クリニックに勤める医師の久乃は、ある日、故郷の同級生・八重子の娘が亡くなったことを知る。母の作るドーナツが大好物

逆ソクラテス(11-50)

昨日またまた図書館の本を4冊借りてきました。その際に「1冊予約がかかっているので、期限内にお返しください」と言われました。 貸し出し期間は2週間あるのですが、司書さんにそう言われると早く読んで後の方に回さないというなんか変な義務感が生まれてしまい、昨夜この作品を読み終えました。 そう、伊坂幸太郎氏の4月に発刊された新作です。著者は確かに人気があります。 逆境にもめげず簡単ではない現実に立ち向かい非日常的な出来事に巻き込まれながらもアンハッピーな展開を乗り越え僕たちは逆転

カインは言わなかった (10-50)

いよいよ図書館から借りてきた4冊目を読み終えました。もう貸し出し可能のメールが来るたびに、追い詰められている感じで頑張って読みました。 読み終えたのは芦沢央氏の作品です。作品が本屋大賞の候補に上がったり、人気が上がっている作家さんの一人です。 ダンサーと、画家の兄弟。答えのない世界でもがく孤独な魂は、いつしか狂気を呼び込み、破裂する。(「BOOK]データベースより) モダン・バレエの男性ダンサー、そしてその弟を軸に、彼らを取り巻く女性と同じバレエ団のダンサー、バレエ団に

M ISSING失われているもの(9-50)

おはようございます。いよいよ借りてきた3冊目、村上龍氏の5年ぶり長編小説を昨夜読み終えました。 この女優に付いていってはいけない―。小説家は、母の声に導かれ彷徨い続ける。『限りなく透明に近いブルー』からひと筋に続く創造の軌跡!5年ぶり、待望の長編小説!(「BOOK」データベースより) 芥川賞を受賞した「限りなく透明に近いブルー」は、発表された時代もあってとてもヒットした作品です。私も読んだ作品なのに、この作品を読んでも思い出すことができませんでした。 作品自体に流れる、

緋色の残響 (8-50)

おはようございます。頭痛で起きた木曜日、雨の朝です。やはり気圧の変化は辛いです。 covid19の影響で図書館が閉館していた時、思いついては予約したり、リクエストしていた本が次々と貸し出し可能との連絡が来るので、手元に借りてきた本をなんとか読み終えて返し、借りようと頑張っています(苦笑) 昨夜もそんな風に頑張って読んだのは、長岡弘樹という作家を初めて読んだ「傍聞き」という短編で、活躍した女性刑事とその娘が活躍する連作短編集です。 刑事であった夫が殉職後、強行犯係の刑事と

修羅の家(7-50)

図書館から本を借りてきて、活字を飢えたかのように初読み作家 我孫子武丸氏の作品を昨夜読み終えました。 簡易宿泊所で暮らす晴男はレイプ現場を中年女性・優子に目撃され、彼女の家につれていかれる。そこには同じ格好をした十名ほどが「家族」として暮らしていた。おぞましい儀式を経て一員となった晴男は、居住者は優子に虐待されていることを知る。一方、区役所で働く北島は、中学時代の初恋相手だった愛香と再会し「家族」での窮状をきく。北島は愛香を救い出す可能性を探るが、“悪魔”が立ちはだかる。(

ペスト(6-50)

covid19の流行により、世界各地で大きな影響が出ました。そんな時再度読み直そうという気運が高まり、ベストセラーにあがったノーベル賞作家カミュの「ペスト」 図書館も閉館となり、外出も自粛の日々に電子書籍で購入し、少しづつ読んでいたのですが、昨夜読み終えてしまいました。 アルジェリアのオラン市で、ある朝、医師のリウーは鼠の死体をいくつか発見する。ついで原因不明の熱病者が続出、ペストの発生である。外部と遮断された孤立状態のなかで、必死に「悪」と闘う市民たちの姿を年代記風に淡

ミドリのミ(5-50)

おはようございます。久しぶりの早起き。早速note書きます(笑) 昨夜も初読みの作家、吉川トリコ氏の作品を読み終えました。とても明るい色調ながら、私にはとても難しいテーマを扱った作品でした。 重田ミドリ、小学3年生。住み慣れた街を離れて父・広の新しい恋人―平野源三―の家に転がりこんだ。そんな事実を受け入れられないミドリの母・貴美子。だから離婚話もなかなか進まない。でも進まない理由はそれだけではなく―。よのなかにあふれる“ふつう”からほんの少し外れたところにいるミドリたち。

純喫茶「一服堂」の四季(4-50)

久しぶりミステリー作家東川篤哉氏の作品を読んでみました。メフィストに2013年から2014年に掲載され、2014年に単行本化、2017年に文庫化されています。 鎌倉にひっそりと佇む喫茶店「一服堂」の美人店主・ヨリ子は極度の人見知り。だが未解決事件の話を聞けば、態度は豹変、客へ推理が甘いと毒舌のつるべ打ち。そして並外れた思考力で、密室内の「十字架」磔(はりつけ)死体など四つの殺人の謎に迫る。愛すべきキャラクター、笑い、衝撃トリック満載の傑作短編集!(Amazon内容紹介より)

クスノキの番人(3-50)

昨夜読み終えた東野圭吾氏の新刊は、発売前より期待が大きかったようで、多くの読書サイトで取り上げられ、読みたいとして挙げておられた方がたくさんおられました。 私が使用している読書コミュニティサイト「ブクログ」でも発売とともに手に入れられ、読み終えられて感想をあげておられた方が数人いらっしゃって驚きました。 その木に祈れば、願いが叶うと言われるのはなぜか。(「BOOK」データベースより)」 主人公直井玲斗は、認知されない子どもとして生まれ、実母を乳がんでなくすと年金生活者の

逃亡者(2-50)

私の同世代の作家の方も多くおられ、いつも贔屓目に作品を読んでいますが、年代の離れた作家さんで、この方の作品は読んでおきたいという方が何人かおられます。 そのうちのお一人が中村文則氏。この世代では世界が注目している作家の一人ではないでしょうか。 今回も新聞連載小説の単行本化された作品ということで、しっかりと向き合いながら読ませてもらいました。 「君が最もなりたくない人間に、なってもらう」第二次大戦下、“熱狂”“悪魔の楽器”と呼ばれ、ある作戦を不穏な成功に導いたとされる美し

祟り神 怪談飯屋古狸(1-50)

以前こちらでもご紹介したDay to Day このサイトのおかげで今まで読ませてもらっていない作家さんとの出会いが生まれています。 今日読み終わった作品の著者 輪渡颯介氏は初読みの作家さんです。第38回 メフィスト賞を受賞してデビュー、主に怪談を絡めた時代ミステリーをユーモアを交えて描く作家さんのようです。 怪談を聞かせるか怖い話に出た場所を訪れると無代になる妖しい飯屋「古狸」に通う桧物職人修業中の虎太。盗賊の頭目「蝦蟇蛙の吉」たちに皆殺しにされ空き家となった店に忍び込

いかがなものか〜小さな親切(50-50)

梅雨に入った途端、今朝はすごい雨音で目が覚めました。最近の天気予報は外れることが本当に少なくて、早めに対処できますね。 昨夜は群ようこ氏の新刊エッセイを楽しみました。同じ世代だけにどの話題も肯けるものばかりで、きっと読みながらニヤニヤしていたと思います(苦笑) いや、これはだめだ。いちいち突っかからなくてもとたしなめる、15%の自分をおしのけて、85%を占めている、もう一人の私が譲らない。世間で起こるあんなこと、日常で見かけるこんなことへの「いや」と「違和感」に切り込む。