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読書備忘録

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本を紹介したnoteをまとめています
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2020年5月の記事一覧

人間に向いてない(41-50)

このcovid-19の影響で、本の流通が低迷したため、多くの作家の方がWebで発信される機会が増えてきたように思います。 そのおかげで今まで読んだことがなかった作家さんを知ることができ、昨夜読み終えた作品を紹介します。 今日の作品の著者、黒澤いづみ氏はこの作品で第57回メフィスト賞を受賞し、2018年に単行本化、先日文庫化されています。 ある日突然発症し、一夜のうちに人間を異形の姿へと変貌させる病「異形性変異症候群」。政府はこの病に罹患した者を法的に死亡したものとして扱い

蛇行する川のほとり(40-50)

今回図書館から借りてきた最後の本は、先般の直木賞、本屋大賞ダブル受賞でさらに人気作家となった恩田陸氏が2004年に発表した作品です。 高校生を描いた著者の作品をいくつか読んだ記憶がありますが、今回はTwitterで若い方がこのcovid-19で不要不急の外出制限下に読まれ、紹介しておられ、興味を持ったので借りたものです。 あの夏の日、少女たちは川のほとりにある「船着場のある家」で合宿を始めた。夏の終わりの演劇祭に向けて、舞台背景の絵を仕上げるために。それは、楽しく充実した

坂の上の赤い屋根(39-50)

いよいよ図書館から借りてきた本も残り少なくなりました。 昨夜読んだのは真梨幸子氏の作品。2017年6月から2019年1月に雑誌「読楽」に掲載、2019年11月に単行本化されています。相変わらずのイヤミス長編でした。 人格者と評判も高かった夫婦が、身体中を切り刻まれコンクリート詰めにされ埋められた。血を分けた娘と、その恋人によって…。その残虐性から世間を震撼させた『文京区両親強盗殺人事件』から18年後。事件をモチーフにした小説が週刊誌で連載されることになる。そこで明らかにな

横濱エトランゼ(38-50)

このところ順調に読み進め、昨夜も1冊読み終えました。元書店員の大崎梢氏が2015年から2016年に発表し、2020年3月に文庫化された作品です。 題名からわかるように横濱を舞台にした連作短編集となっています。 「ハマペコ」編集部でアルバイト中の千紗は、洋装店のマダムから、かつて夫とよく上ったという元町百段の思い出話を聞く。しかし、幼馴染の善正によると、その階段はマダムが生まれる前に崩壊したらしい。マダムはなぜ、あるはずのない思い出を語ったのか?横浜で起きる“不思議”を解き

できない相談piece of resistance(37-50)

誰もが日常的に何かと気持ちをすり合わせながら、生きているとお思います。 「ひとがなんと言おうと、私は我慢しない」こうはっきり言えたらなんと気持ちよく生活できることだろうと、多くの人が思っているでしょう。特に、今年のようなcovid-19で我慢を強いられている時は尚更かもしれません。 昨夜読み終えたのはそんな日常の小さなことに抵抗する短編が収められた、森絵都氏の作品です。 なんでそんなことにこだわるの?と言われても、人にはさまざま、どうしても譲れないことがある。夫の部屋に

メインテーマは殺人(36-50)

今週は頭痛に悩まされながらも実家のシロアリ点検、夫の術後1ヶ月の診察とバタバタした日を送っています。 note事務局からお知らせが来ました。皆様、いつもありがとうございます。 昨夜読み終えたのは、日本のミステリ賞史上初の7冠受賞の「カササギ殺人事件」の著者アンソニー・ホロヴィッツの作品です。 原題「The Word is MURDER」は本作品の私、ことホロヴィッツに自分の手掛ける殺人事件を本にしないかと持ちかけた元刑事ホーソーンが、ホロヴィッツに自分のことよりも「主題

月とコーヒー(35-50)

図書館が再開して借りた本の2冊目は吉田篤弘さんの短編集です。2日かけて読みました。 原稿用紙10枚ほどのお話が24話収められていて、どれもが夜眠る前のひと時に読むのにふさわしいしっとりとしたお話ばかりです。 今回は借りて読んだので、一気に近い形で読みましたが、手元に置くことが許せばベッドのそばに置いて1話1話をじっくり楽しみたい作品でした。 喫茶店“ゴーゴリ”の甘くないケーキ。世界の果てのコインランドリーに通うトカゲ男。映写技師にサンドイッチを届ける夜の配達人。トランプ

イマジン? (34-50)

緊急非常事態宣言が多くの県で解除されましたが、いかがお過ごしでしょうか? 昨夜は久しぶりに有川ひろ(有川浩さんが改名されたんですね)氏の新作を読みました。 走るしか能のない新米突っ走る!行き先は、たぶん未来。(「BOOK」データベースより) 装画担当 徒花スクモさんの表紙によって物語の内容をストレートに表現されています。そう、今回は映像の制作会社新米社員が主人公で、ドラマや映画の撮影現場が舞台です。 さらに撮影現場舞台の作品が2つ、今まで映像化された著者の作品がモデル

ドクター・デスの遺産(33-50)

久しぶりに図書館に行き、4冊借りた1冊は中山七里氏の作品。昨夜一気に読み終えました。 「日刊ゲンダイ」で2015年11月3日号から2016年4月30日号まで連載され、大幅に加筆修正、2017年5月31日に角川書店より単行本として発売された作品です。 初出がかなり前の作品で読まれた方もおられるでしょうけれど、covid-19でおうち時間が増えた今、映像化を機会にもう1度再読というのもいいと思います。 安らかな死をもたらす白衣の訪問者は、聖人か、悪魔か。警視庁vs闇の医師=

古くて新しい仕事(32-50)

緊急事態宣言が出て、近くの本屋さんが閉鎖されるかと心配したのですが、地方の田舎町の小さな本屋さんはGW中は時間短縮しながらも営業しておられました。 この「古くて新しい仕事」は随分前からTwitterなどでとても評判がいいので、いつか読みたいと思っていたのですが、GW中本屋さんの棚にひっそりと挟んであったので思わず購入しました。 嘘をつかない。裏切らない。ぼくは具体的なだれかを思って、本をつくる。それしかできない。ひとり出版社「夏葉社」の10年が伝える、働き方と本の未来。(