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濃い酒が飲みたい④


最近彼はチーズも注文するようになった。
フレンチレストランの経験を生かしてウォッシュチーズという
種類のチーズを置いている。

国内では普通に買えるにもかかわらず、飲食店ではあまり扱われない
分類のチーズ。

そんなチーズを知ってもらおうと敢えて個性の強いウォッシュチーズを
選んでいます。
お酒がメインのお店で、チーズ盛り合わせを注文すると
白カビ、青かび、ハード系にシェーブル(山羊)チーズが
一般的に多いです。

何故かウォッシュチーズは入っていません。

ウォッシュチーズとは表面を塩水で洗って熟成させるチーズの事。

チーズの表面を定期的に塩水等で洗う作業が
そのままチーズのカテゴリになっています。

因みに
・フレッシュ
・白カビ
・青かび
・セミハード
・ハード
・ウォッシュ
・シェーブル
が代表的なカテゴリ

ウォッシュチーズは時間経過とともに味や状態が変化し、
かつ香りも強くなっていきます。

これがウォッシュチーズの特徴で発酵感や濃厚なミルク感が
出てきてこれが癖になるともう
カマンベールチーズは食べなくなります。

味や状態が変化する為
少し知識が無いと痛んでいるのでは?
食べて大丈夫?

等の疑問が湧いてきます。
匂いも決して食欲をそそる様な香りでは無い為、
スーパーの店頭には置きにくいタイプのチーズです。
見かけるのは浅いウォッシュの香りの出にくいタイプの物しかありません。

チーズの王様
ウォッシュチーズのエポワス
この表面が光ってい状態だと中はカスタードクリームの様なペースト状になっています。
一番おいしいタイミングです。


彼もメニューのチーズはカマンベールしか知らないと言っていました。
勉強のために新しいジャンルにトライすることは良い事だと思います。
美味しい、好みじゃない、有かも?、 苦手、ちょっと無理 
が当然あるチーズの世界、一通り説明して選んだのは
マンステール。

濃厚なミルク感と発酵感もあるのがマンステールの特徴です。
エポワスには及びませんが初めて食べるなら十分です。

準備をしている間、カリラのカスクストレングスとミックスナッツを
楽しんでいます。

普通の人が40度のロックを飲むようなペースで60度近い原酒を
ストレートで飲んでいます。

「うわ~~」
「濃いですねぇ」

 「大丈夫ですか?」と僕

「美味しいです!!」

初マンステールの体験の瞬間を僕は見守っています。

「カマンベールと全く違いますね?」

 「そうですねぇ、ウィスキー目線で見れば
  ウォッシュチーズの方が合いますよ」

次は
アードベッグコリーブレッカン。

これも60度弱
パンチの効いたアイラモルト。

コリーブレッカンとはアイラ島とスコットランド本土との海峡に出来る
渦の事。
ラベル右下の渦のデザインが荒々しさを表現しています。
アードベッグ10年よりワンランク上の飲みごたえがあります。

チーズとの相性は良いようで彼の手は止まりません。

僕は黙って眺めています。

ウォッシュチーズや山羊のチーズ(シェーブル)は時として好みが合わず
残される方がいます。

その為それなりの説明をした上で提供をしていますが、彼がそうでなかったことに一安心です。

僕自身がチーズを製造しているわけではありませんがヒットした瞬間は
嬉しいですね。

最後の〆はオクトモアです。

歴史の浅いアイラモルトです。
高濃度のピートに特化しているため熟成年数は5年と若いです。
ピート濃度世界最高値を誇ります。
ラフロイグ10年の5倍あります。
アードベッグ スーパーノバの1.5倍。
度数は約60度。
「一日の〆にはこれしかない」
という位置づけのウィスキーだと僕は思っています。

オクトモア6.1
世界一ピーティーなウィスキー(発売当時)

残り僅かなマンステールとオクトモアを無言で流し込んでいます。

チーズの脂肪分をあっさりとリセットできるくらいパンチがあります。

相性が良かったのか、いつものオクトモアのペースより早かったように
感じます。

気が付いたら、もうグラスは空。
初めてのウォッシュチーズ。
満足したようで僕も今日の〆として嬉しかった。
今日もありがとうございました。


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