おまじない

ある日から私は、同じ夢を見るようになった。
それは【朝、自分の家から出かけて夕方、顔を赤くして帰ってくる】夢。
どうして赤くなって帰ってくるのか、どこに出かけているのかすら覚えていない夢だ。
今日も一日仕事を乗りきって、クタクタの状態での家路の帰り道。
いつも通り、ご飯を食べ、お風呂に入り、髪を乾かして、ドラム洗濯機に明日の朝乾くようにタイマーをかけ、寝る、そしてあの夢を見る。
鏡で化粧をうきうきでしてる私をいつもなら第三者目線で見るのに今日は"私の目線”だ。
(おや?今日なら知れるんじゃないか?)
と思いつつ眺めていく。
意識とは裏腹に、私はいつも通り支度し、出かける。
着いた場所はなんと、学校だった。
手馴れた手つきで正門から入り、誰かに会うようだ。
『お待たせしました!すみません、ちょっと遅れちゃいました』と、小走りしながら言う。
『いや?大して待ってないよ、それより今日も可愛いね?』と、手を伸ばし、私の手をとる男性。
黒髪で腰ぐらいまでのロングウエーブを風になびかせながらそう囁く"吸血鬼”。
私は照れて顔が真っ赤。
『だが、』と”こっち"を見た。
『今日は帰った方がいい、君との逢瀬、見られたら困ることもあるからね、”まだ君は"早い、いい子だから帰りなさい、ね?これは、おまじない。』と言ってキスをされた、瞼に。
そこで『っきゃあ!?』と目が覚めた。
時間は6時、起きて洗面台に向かう。
『なんで、”まだ"?』と洗面台の鏡を見ると、私の顔は火照ったように真っ赤だった。
『…………はぇ?』
どうやら、私は厄介なおまじないを賭けられたようだ

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