小学校の頃、選挙で負けた話
僕が小学6年生の時、生徒会の会長に立候補してしまったことがあるんです。
僕はいわゆるお調子者だったので、クラスのみんなにかつぎ上げられて立候補ということになったのですが、選挙に出るからにはちゃんと選挙運動をしようと思って、各クラスや下の学年の方にまで顔を出したりとか色々と準備をしました。
実はそういうの結構、戦略的にやるタイプなんです。
さらに、演説もかなり立派なことを言えたはずなんです。具体的な内容は忘れてしまったのですが、確か「生徒の自由や自主性をもっと尊重した学校づくり」というようなものがテーマだったように記憶しています。
さらに、その演説の最後に絶妙なギャグをいれて、おもいっきり会場を大爆笑の渦にもさせました。
そして結果がですね、2位だったんです。
1位は女性候補者でした。
ちなみに彼女の主張することはと言えば「これからは女性の時代だと思います」という1点のみだったんです。
そして、票は彼女に流れたんです。
僕が12歳ということは1981年ですね。
小学6年生の女子生徒が「これからは女性の時代です」と発言するのに、若い生徒たちも「そうだ。そうだよね」って心が震えたんでしょう。
もし僕も逆の立場で会場の下の方で見ていたら、なんだか器用そうな「僕」よりもあの誠実そうな女子生徒に一票を投じたかもしれません。
今、この場で想像すると「まあ彼女が勝つだろうなあ」とわかります。
でも僕は当時、すごく落ち込みました。
ちなみに社会の先生も兼任していたちょっとユニークな教頭先生がいて、僕は親しくしていたのですが、その先生が「林の方がよっぽど良いことを言ってたのになあ」って言ってくれてそれで僕は一安心しました。
僕は「思想」で負けたんじゃない、「時代」に負けたんだって幼いながらに理解しようとしたんでしょう。
僕の基本的な考え方はその時に出来上がったように思います。
みんなが熱狂的になっているときに、「とりあえず別の立場をとってみる」ということを意識的にやっています。
天の邪鬼と言うわけではないのですが、たぶんそれが自分の「役割」のような気がしているんです。
あの時、本当に選挙で勝って、会長にならなくて良かったと思います。
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