デートの誘いを上手に断る方法の向こう側

ある原稿依頼で、いくつか「お題」があるのですが、ひとつに「デートのお誘いの上手な断り方をバーのマスターが教える」というのがあったんですね。

うーん、でも僕は「モテる女の子」ではないので、誰かからのデートを断った経験なんてもちろんないわけで、「そんなのわかんないよ」と思うわけです。

でも、僕は「来た球は全部丁寧に誠実に打ち返す」と決めてまして、「わかんないジャンル」でも、出来る限りの手は尽くして、丁寧にお答えするという方法をとることにしてるんです。

それで、「デートのお誘いの上手な断り方」、bar bossaのモテる女性のお客さま達に「どうしてますか?」と色々と質問してみました。

すると、こんな答えが返ってきました。

「林さん、それ相手とか状況によって対応の仕方の違いが色々ありすぎる」

例えば「全く『ない』って人だと、『誤解されないように』そして『傷つけないように』さらに『勘違いされて何度も誘ってこないように』断る方法」とか。

あるいは「お仕事上の問題で、そんなには冷たくは出来ない相手で、でもなあ、この人とデーとしてしまうとちょっと面倒くさいことになりそうだなあ、やっぱり微妙などうともとれない断り方をしておこう」とか。

または「結構好みで、いつもだったらもちろん『はい、行きます!』なんだけど、実は今は『すごく好きで狙っている人がいる』から、ちょっとそういう中途半端なデートはする気はなくて、でもとりあえず『キープ』はしておきたいから、『またこっちから連絡する』と答える断り方」とか、って感じです。

なるほどなるほど。確かにそうですよね。

そんな色んな状況があるはずだから、「こういう風に断れば上手くいきます」というマニュアルのようなものはないですよね。

そんな話をしていたら、ある女性がこんなことを言いました。

「私は基本的にはデートのお誘いは全部ことわらないことにしています。知らない人とある時間を一緒に過ごすって人生の中の大切なことだと私は思ってるんです」

すごいお答えですよね。

確かにその時、「ちょっとこの男は違うかな」とか思って、お断りしたとして、じゃあその日はあなたは何をするのって考えてみたら、家でテレビやネットを見たり、女友達とカフェでダラダラとお喋りしたり、って感じでしょうか。

だったら、「知らない誰か」と一緒に過ごすっていう方が「人生に何かの意味」を与えてくれそうな気がします。

「やっぱり好きになれないタイプだった」とそのデートでわかっても、それはそれで「私、自分のことばかり話す男はダメなんだ。どうしてなんだろう。そうかお父さんと似てるんだ」って考えるきっかけになるかも知れないわけですよね。

あるいは、その男性とはうまくいかなくても、その男性が所属している業界やサークルに興味が出てきて、その男性の向こう側に「新しい出会いや世界」が待っているかもしれません。

そしてそしてやっぱり、彼女が言うように「人生の中で知らない誰かとある時間を共有する」っていう行為自体が、この何億人も人間がいる世界で「奇跡的なこと」でもあるように思います。

「デートは断らない」ってひとつの生き方かも知れませんね。

#コラム

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