新しい食べ物への対応の仕方でその人がわかる話
米原万里がこんなことを書いていました。
「ペレストロイカの時の保守派の頭目と非難されていたリガチョフ政治局長が滞日中は、刺身や鮨はおろか天ぷらもしゃぶしゃぶもすき焼きも和食は駄目の一点張りで、無難なフランス料理で押し通した。
ペレストロイカを押し進めつつ左右のバランス取りに心血注いだゴルバチョフ元大統領も、刺身、鮨には拒絶反応を示した。でも天ぷらやしゃぶしゃぶ、すき焼きは大歓迎だった。
ソ連崩壊のブルドーザー役を果たしたエリツィンはというと、出される食べ物、何から何まで興味を持って口にし、美味しそうに平らげてくれた。刺身も鮨もみそ汁も納豆も雀の焼き鳥も、どんなものでも顔色一つ変えずに食べてくれた」
面白い話ですよね。
何か新しいことが始まった時への反応の仕方って人によってすごく違いますよね。
新製品や新サービスが始まったら誰よりも先に飛びつく人。
新しいファッションや新しい流行語をすぐに取り入れられる人。
あるいはみんなが使いはじめて、スタンダードになった辺りから利用しようかなっていう人。
一方で、そういう新しいものはとにかくイヤだ、という人もいます。
こういう新しい変化への態度や受けとめ方って、実はかなり深いところに「自分の方針」のようなものが決定してて、大人になったらもう変えることは出来ないです。
政治的なことが一番わかりやすいのですが、もうこういう方向性みたいなのって何が正しいとか正しくないではなくて、もう最初から遺伝子レベルで決まっているように思います。
そしてこの感覚こそが「人と人との相性」というようなものに大きく出ますよね。
そんなことってないですか?
どんな組織でもいがみあっているのは結局そこだったりしませんか?
そしてそういう傾向って、かなり「食べ物の好み」で現れるような気がします。
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飲食店を立ち上げるときって、お客さまとなる層をあらかじめ予測します。
こういう層はこういう金銭感覚でこういう海外旅行や体験をしていて、だったら「パクチーがたくさん入っている料理を美味しいと感じるはず」とか、あるいは「ハンバーグにデミグラスソースやナポリタンを好んで食べるはず」とかって予測して、それにあわせて内装や料理の金額や出店する場所を決めます。
この辺りの地域はITやマスコミ系が多いから、こういう料理が受けるはずとか、この辺りは官庁で働く人たちが多いから、こういう料理が受けるはずと予測するというわけです。
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僕たちはデートやこの人と仕事をするべきかどうか、という時に必ず食事をしますよね。
これって目の前の人がどれだけ「新しい変化が好きなのか、あるいは伝統的なスタイルに固執するのか」というのを確かめているんだと思います。
「この人とずっとやっていけるかどうか」というのを確かめたいとき、変わった料理を出すお店ばかりを回ってみるというのも有効な試みかもしれませんね。
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