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お店との距離は難しい

あるレコード屋さん。僕、そこは「半年に1回」くらいしか行かないのですが、最近、そこの店主の方に、顔を覚えていただいたようで、僕がお店に入ったら「お、こんにちは」って言ってくれるようになったんです。

そのお店、前から「店主とお客さんが話すお店」っていうのは知ってたんです。「あのアルバムって入らないですか?」とか「○○は4枚目が良いですよね」とかって、レジのところで店主とお客さんたちがよく喋ってるんです。

でも僕、レコード屋さんで話をするのって、あんまり好きじゃなくて、ずっと「その会話の輪」みたいなのからは避けてたんですね。

でもどうやらついに僕の顔を覚えてくれて、今度あたりからその店主の方が「この辺りのサウンドが好きなの?」とかって言われそうなんです。

申し訳ないのですが、そのお店、なんとなく行かなくなってしまいました。

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自宅の近くに「ほぼ毎日行くコンビニ」がありまして、一時期、ほぼ毎日「500mlと350mlのビールを一本づつ」買ってたんです。

それがある日のこと、妻に「うちの犬のゴハンがなくなったから帰りにコンビニで買ってきて」って言われて、そのビール2本と犬のゴハンを一緒にレジのところに置いたんですね。

そしたら「毎日、顔を見ているけど、決して話したことのない店員さん」が、「あれ、今日はいつもと違うんですね」って話しかけてきたんです。

決してそういう会話が好きそうな人ではなかったので、僕はちょっとびっくりして、「え、ああ、そうなんです。うち、犬を飼ってて」って言ったら、彼の方も「あ、自分、ついつい変なこと話しかけちゃったなあ」って感じになって、微妙な空気が流れたんですね。

それからは、その彼がレジだとなんか微妙な空気だし、彼もそれからいっさい「プライベートっぽい会話」はしないんですね。

もちろん僕が「いつもと違う商品」をレジに置いても、何にも言わないんです。

こういう、「なんか距離感を間違えちゃったな」ってこと、ありますよね。

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バーで立ってても、そういう「距離感」って難しくて、「bar bossaのことは気に入ってくれて、もう何年も通ってくれているけど、僕とプライベートな会話はいっさいする気持ちはない」って方、たくさんいらっしゃるんですね。

その方たちに、「ちょっとプライベートな会話」を振ってしまったら、なんとなく気まずくなって、「もう2度と来店しない」ってこともあるんです。

だから、僕はお客さまから何か言われない限りは、「一定の距離」を保っているのですが、でもお客さまによっては、「いつかプライベートな会話をしたいな」って思っている方もいて、その判別が難しいんですよねえ。

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あと、バーでよくあることが、「一番、最初に来店した時に、マスターと会話が盛り上がりすぎた」ってことあります。

そんな時、「2回目にあのバーに行って、あのマスター、自分のことを覚えていないと気まずいな」っていう心理があるんです。

それでなんとなく「2回目」が行けなくて、「また行きたいけど、なんだか行けないお店」になってしまうんです。

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この「距離感」って難しいですよね。

その辺り、「営業職経験者の方」って上手いんです。

電話で「以前、○○さんと行った、○○で勤めてる者ですが、今から2名でお伺いします。お席は大丈夫ですか」とかって言ってくれたり、

FBのメッセージで「顔がわかるアイコン」で、「1年ほど前に、カウンターでこういう会話をしたものです。覚えてらっしゃらないかもしれませんが、明日、7時にまたお伺いしようと思っているのですが、お席は予約できますか?」って感じで連絡をくれたりします。

やっぱり営業職が長いと、再会した時に、「あれ? この人、誰だっけ?」っていう焦りを何度も経験しているから、相手にもその「焦り」を感じさせないように、あらかじめ伝えてくれるんでしょうね。

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お店とお客様との「距離」、微妙で難しいですが、今日もお店でお待ちしております。

#コラム

お酒やバーについての僕の本です。『バーのマスターはなぜネクタイをしているのか?』 

bar bossaに行ってみたいと思ってくれている方に「bar bossaってこんなお店です」という文章を書きました。

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