誰かを愛するということは、その全てを愛しく感じること
ある男性の友人が、詩を1週間に2、3本くらい書いて、ネット上にアップしているんですね。
そしたらその大量の詩を、彼の後輩的な女性が、全部読んで「年間ベスト10」を選んでくれるらしいんです。
すご~く、すご~く、羨ましくないですか?
だってそれって、本当にちゃんと全部読んで、全てを理解しないと出来ないですよね。
そんな読者がいるってすごく羨ましいですよね。
表現者って、自分の作品をすごく理解してほしいんです。
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ところで、あなたがある有名アーティストに会ったとき、出来れば避けるべき言動は何かご存知ですか?
「そのアーティストの過去の有名作品やヒット作品を誉める」ということです。
例えば、話をすごくわかりやすくするために、坂本龍一に会ったとします。
そこで「僕、戦場のメリークリスマスが大好きなんです」って言ったとしますよね。
もちろん本当に好きなのでしょうし、もちろん坂本龍一本人も嬉しいのだとは思うのですが、でも、その場は微妙な空気になりそうですよね。
アーティストとしては、日々、血のにじむような思いで、新しい作品を作っているわけで、現在、一番気にかかっていることは今作っている作品や、ここ最近、発表した作品のことだと思います。
たぶん、何十年も前のヒット作品について「好きです」って言われてもちろん嬉しいけど、本当は「最近の作品について何か感想を言ってほしいなあ。最近のは聞いてくれてないのかなあ」って気持ちになっていると想像します。
ですので僕は誰か有名なアーティストと話すときは、出来るだけ「最新作」について、話すことにしています。
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プリンスが亡くなりましたね。
僕、実は18才の頃、プリンスがとにかく大好きだったんです。
プリンスファミリーは全部買ったし、プリンスが影響を受けたと公言しているアーティストも買いそろえていきました。
ちなみにプリンスは、スライ&ザ・ファミリーストーンと、Pファンクと、ジェイムス・ブラウンを推してまして、とにかくその人たちのアルバムを片っ端から買い集めました。
で、スライとPファンクは好きだったのですが、どうも僕はジェイムス・ブラウンがわからなかったんです。
それでどうもその「ファンク・ワールド」には自分は向いていないんだなあ、JBがわからないってことは自分はファンクの本質みたいなものが理解できないんだろうなあと思って、その世界から足が遠のきました。
あの時、JBにはまっていたら、今、僕は「bar funk」というお店をやっていると思います。
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それで、プリンスについて何か書こうかなと思ったのですが、僕、実はプリンスは『バットマン』までしか聞いていなくて、その後の作品は全く聞いていないんです。
それなのにプリンスについて何か書くなんて、プリンスに対してすごく失礼だなあ、と思ったので今回はこんな文章になりました。
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そして、冒頭の話に戻りますが、「全作品をチェックしてくれる読者」がいるって本当に嬉しいですよね。羨ましいです。
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最近、ブロッサム・ディアリーのレコードを集めていて、すごく若い頃やお婆ちゃんになってからのとか、とにかくどれもが「ブロッサム・ディアリー」で、すごく良いんです。どの時代も好きになれるって良いものですよね。
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さて、僕の話はいつも突然飛躍してしまいます。
誰か一人の人間を愛することって、その人の幼い頃や、その人の家族、その人の仕事や生き方、あるいはその人の何か醜い面や性格、そしてその人が老いてからも全てのその人を愛おしく思うことのような気がしてきました。
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この記事は投げ銭制です。ちなみに、残りの文章は毎回「僕のちょっとした個人的なこと」を書いています。今回は母のことです。
※僕のcakesの連載をまとめた恋愛本でてます。「ワイングラスのむこう側」http://goo.gl/P2k1VA
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