世間で流行り始めたものに後から気づいたとき
昔、僕がバーテンダー修行をしたフェアグランドというバーが「DITA」を置いてなかったんです。
僕がそこで働いたのは1995年~1997年で、もうとにかく「ディタ・グレープフルーツ」という飲み物が世の中では大流行でした。
なので、もちろんカウンターに座って、多くの女性が「私、ディタ・グレープフルーツ!」って注文するのですが、その注文に対して「すいません。うち、ディタ置いてないんですよ」って伝えると本当にみんなが「え? どうして?」って表情でびっくりするんです。
で、同僚のバーテンダー達とは「いやあ。ディタさえあれば何の問題もないのに、どうしてディタ置かないんだろう」ってすごく疑問に感じてまして、ことあるごとにその時のボスの中村さんに「ディタ、置きましょうよ。もうディタを置いたらそれで良いんですから」ってお願いしていたんですね。
でも中村さんは「とにかくディタは置かない」って宣言してまして、理由はこうなんです。
「今、ディタグレープフルーツが流行ってて、それをお酒をあまり知らない若い人たちが何にも考えないで『ディタグレープフルーツ』って注文して、それをそのまま出すなんて良いバーのすることじゃない。『ディタはないのですが、例えばこのフランボワーズのリキュールを使って何かお作りしましょうか』って提案して、新しい味を知ってもらって、帰っていただくのが良いバーの役割だ」
まあとにかく正しいですよね。その当時、本当にディタグレープフルーツが流行っていて、それってどこでも飲めるわけだし、それをなんの工夫もなくそのまま自分のバーで出すことに中村さんは「意味」を感じなかったのでしょう。
こういう「流行っているもの」に対して、どう対処するかってお店の基本方針の見せ所ですよね。
物販でも同じだと思うのですが、「それ流行ってるな」と思って、後追いで自分の店にも入荷するって出来れば避けたいですよね。
自分の目や勘で、いち早く気がついて、周りのどんなお店よりも先に入荷していたら「どや!」って気持ちになれるのですが、「周りのみんながやってるから」という後追いってやっぱり悲しいです。
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ちなみに、bar bossaは開店19年目になりまして、最初のうちは「モヒートが流行る前に始めたり」、「ビオワインが流行る前に始めたり」と、先を行ってたのですが、今となっては「後追い」になってしまうことって本当に増えてきたんです。
今はとにかく「bar bossaらしい、ワン&オンリーのお店」というのを目指していまして、出来るだけ、流行には踊らされずに自分達の目で運営していきたいなと思って、お店をキープしているんです。
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でも、最近、特に若いお客様たちによく言われるあることがありまして。
「この鞄はどこに置けばいいんですか?」という言葉なんです。
最近、どの飲食店も、足下にカゴを置いてあって、そこに鞄を入れますよね。
あるいはカウンターや立ち飲みだと、鞄をかけるフックが取り付けてあって、お客様がそこにかけるようになっています。
でも、bar bossaは古いバーなのでそんなもの用意していないんです。
以前は鞄は自分の背中と椅子の背もたれの間に置いてたように思うんです。で、椅子の背もたれに背中をつけるのって「無作法」でしたよね。
でも、今はそんなことないらしいんですよね。
だから「鞄をいれるカゴか、鞄をかけるフック」が必要になっているんです。
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妻と悩みました。ちなみに妻は「あの足下のカゴは私は好きじゃない」とのことで却下になりました(カゴ置いているお店の方すいません。妻の趣味ですので否定しているわけではありません)。
「でもカウンターにフックをつけようよ」と僕が提案したのですが、「うーん…」ということになり、妥協案で、下のような「バッグ・ハンガー」を用意することにしました。
必要な方はお声をかけて下さい。
僕のcakesの連載をまとめた恋愛本でてます。「ワイングラスのむこう側」http://goo.gl/P2k1VA
この記事は投げ銭制です。この後、オマケで僕のちょっとした個人的なことをすごく短く書いています。今日はとと姉ちゃんのことです(本当に大したこと書いていません)。
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