自分は結構能力があると思っている人へ

落語家の間でよく言われることで、「この噺家、だいたい自分と同じくらいの上手さだなあ」と感じたら、「その噺家は自分よりも数段も上手い人」らしいんですね。

で、「うわー、この噺家、すごく上手いなあ」と感じたら、「その噺家ははるか雲の上のそうとう上手い人」らしいんです。

で、「この噺家、下手だなあ」と感じたら、「その噺家は自分と同じレベル」だそうなんです。

これ、なかなか厳しいけど、わかりますよね。

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自分の話をしますと、最近、ちょっと思うことあって、いろんな作家の「文体だけ」を意識して、パラパラとチェック読みみたいなのをしているんですね。

で、椎名誠を試しに読んでみたら、やっぱりすごい上手いんです。どうでもいいような日常の身近なことを書いていたかと思えば、それは「椎名誠の世界観に慣れさせる導入口」であって、「わ!」っと物語に引き込むんです。

で、この間も「青春小説みたいなの書けないかなあ」と思いながら、本屋でパラパラといろんな作家を見ていたら、佐藤多佳子が目に付きまして、「ああ、この人、読んだことないなあ」と思って、『サマータイム』という処女作を見たら、冒頭の「抑制された始まり方」がすごく上手くて、「うわあ、上手いなあ」って感心しているんです。

ちなみに、こういう人たちは、最初の「落語家の定義」によると、「はるか雲の上のそうとう上手い人」なんですよね。

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で、インターネット上で、「ああ、この人、なかなかやるなあ。まあ自分と同程度くらいかな」って感じることってあるんです。

その人は最初の「落語家の定義」で考えると、「僕よりも数段上手い人」なんですよね。

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さらに、本当にすいません。たまに「うーん、良いところあるんだけどなあ。荒削りだなあ。もう少しこなれてきたら上手くなるかなあ」なんてことを偉そうに僕は思ったりすることがあるんです(ほんと、上から目線でイヤな奴ですね)。

その人は最初の「落語家の定義」によると、「僕と同じくらいのレベル」なんですよね。

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いやはや。この「落語家の定義」本当に真実をついていますね。

人間ってやっぱり「自分を過大評価」しているそうなんです。そうじゃなきゃこのつらい世界でやっていけないそうなんですね。

でも、「本当は自分がどの程度のレベルなのか」っていうのは把握しておいた方が良いですよね。

あなたも是非、上の「落語家の定義」で自分の才能を見つめてください。あなた、そんなに大したことないかもしれないですよ。

#コラム

僕のcakesの連載をまとめた恋愛本でてます。「ワイングラスのむこう側」http://goo.gl/P2k1VA

この記事は投げ銭制です。この後、オマケで僕のちょっとした個人的なことをすごく短く書いています。今日は「好きなパスタベスト3」です。

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