西洋美術館、またはクールベを見たことについて 2024/07/08 

クールベの絵が見たかった。
美しい黒を描く印象があり、好きな画家だったが、実物を見たことはなかった。

どこかで見られないかな〜、と思いながら適当に西洋国立美術のサイトで調べてみる。



あるじゃん

日本にクールベ

しらなかった




土曜に上野で人と会う用事があったため、早めに家を出て、ついでにと西洋国立美術館に赴いた。上野の美術館といえば私は都美ばかりだったので、ここには来たことがなかった。

国立西洋美術館には16世紀から20世紀の絵がおおよそ時代ごとに飾られており、西洋絵画史の流れを感じることができる。

しかし人類、明らかに絵が上達しているな、と思えた。
画材の進化、ノウハウの進化だろうか。時代を追うごとに絵に厚みと繊細さが増す。

人体の構造を知ることによって得られたものも多かったのだろうな。

カヴァッリーノ。16世紀なかごろ。
後ろの黒い服を着た男性の表情の柔らさが素敵

絵を見ながら館を進んでいく。奥へと進むごとに、飾られていく絵画も新しいものになっていく。

クールベは19世紀の作家であるから、飾られているのも奥のほうだろう。




絵を見ながら館をすすんでいると、ついにクールベの絵が目に留まった。

かっこよすぎて驚く。
しばらくの間これを見ていた。

やはり色がいい。全体的に低めな彩度と明度が目を引くが、それでいて鈍くなく、波にはその青と透明感を覚える。

絵画中央に水平線が広がり、空と海とで二分された構図は自然の荒々しさと穏やかさが同時に表現している用に思えた。

ずっと見ていても飽きない絵画だった。ほんとうに嬉しい。


クールベの絵では、キツネもあった

これもいい。雪をここまで表情豊かに描いているのはクールだ。(クールベだけに)

死の影に怯える狐の表情も素敵だな。


ほんのすこし進むとモネがあった。モネ展で見た以来のモネであり、「お、元気してた?」と思う。


さらに館を進む。写実派と印象派の作品が入り交じる中、見覚えのある作風がめにとまった。


ハマスホイじゃん!

ハマスホイも好きな作家の一人だ。彼も黒の表現が美しく、そして作品の雰囲気はどこか寂しさと恐ろしさを纏う。

いまでいうリミナルスペース的な雰囲気も感じられるね。

久しぶりに見られて良かった。


展示の最後にはキュビズムの作品が飾られていた。

キュビズム、初見では「変な絵だな」という感想を抱くものだと思うが、しかし西洋美術史の流れのなかにこれが現れたという事実には、得も言われない荘厳さがある。

初めてピカソとムンクの作品が見られたのはうれしかった。

たしかエゴン・シーレが「自分の芸術はただ芸術の流れの中にあるだけ」みたいなことを言っていた気がするのだけど、それをありありと感じる事が出来た。

ひさしぶりに現代美術をみにいきたくなってしまった。かなりチョロい

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?