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ド・ストライク【ショート・ストーリー】

登場人物やできごとは
すべてフィクションです。

メイちゃんにそそのかされて…

わたしは17歳。


Miくんの誘いでメンバーに加わったテーブルゲーム。
6月になろうとする頃の事だった。

ある日、MiくんがMyさんをともなって参加。
Miくんはわたしより年下。
Myさんは落ち着いた物静かな女性で、わたしより二つ三つ年上の感じ。

以後、Miくんの傍らにはかならずMyさんがいた。

いつも楽しく、月に2回くらいのペースで集まる。

MくんとMyさんは、とっても仲良し。
見ていてほほえましい関係。

ゲームの種類はその時々で変わった。

Myさんは無口で、ほとんど話はしない。
どちらかというとわたしが一人で話しながらのゲーム。
盛り上げ役だった。

半年くらいして、秋のある日、


ゲームの中でカードを取る時、
同時に手が出てMyさんと
わたしの手の甲とMyさんの手の甲が当たった。

静電気みたいな、ピッという感覚に、
二人とも手を引っ込めた。
目が合った。

それ以来、今までとは違う楽しみが増えた。

それからもゲームは続いた。


そして約一年。
ゲームに参加し始めた季節になろうとしていた。
その日初めて、MくんとMyと三人で帰った。

歩きながら、いつかMyと一緒に歩いてみたいな、と思った。
そう思っているとたまたま、Myと並んで、Mくんだけが先を歩いて行った。

ちょっとだけ、Myとの距離が、近くなった感じがした。

年を越して四月の終わり。
ゲームが始まって、もうすぐ一年という頃。
わたしはMyに、付き合ってとお願いした。

Myは困った顔をして、困りますとつぶやいた。

それからも、人見知りするわたしなのに、なぜかアプローチを繰り返した。

5月、友だちとしてなら話していいよ、そう言われた。

夕暮れ時、約束の公園のベンチに座って待った。
散歩の人が目の前を行き交う。

約束の時刻を大幅に過ぎている。それでも、待ち続けた。
何かあったんだろうか、ドキドキ、ハラハラ。

Myがやって来た。
もう薄暗く、人影だけがやって来た。
でも、Myだと分かった。

話したのは他愛もない事だった。
以前にも、デートをしたことはあったけど、
こんなにうきうきしたのは初めて。

以前と違って、話したことはなくても、一年間、
その雰囲気を知っていたから、ほとんど緊張しなかった。

公園の街頭が灯った。

話すことがだんだん尽きて来たのに、
二人とも帰ろうと言い出さない時間が、
途切れとぎれに続いていた。

話が、完全に途絶えて、
ふたりとも足元のすぐ先を見つめていた。

そろそろ帰らないと、とわたし。
そうだね、とMy。

立ち上がる気配がして、

わたしは思わずMyの肩を抱き寄せた。
細い、華奢な肩だった。
Myの両手は膝の上に、頭はわたしの左肩にを載せていた。

しばらくして、Myがわたしの目を見た。
また間があって、
わたしは唇を重ねた。
柔らかかった。

Myはまた、困りますとつぶやいた。


その後、MyはMくんにこの夕べのことを話してしまう。

Mくんは怒った。
Myと会わない、連絡を取らない約束をした。

ゲーム会は、なくなった。

約束はしてたけれど、Myに連絡した。

何度連絡して、何度も断られ、会えなかった。

それでもなんとか、何回かのデートをした。
覚えているのは7,8回だろうか。
公園に座って待っていると、ひょっこり顔を見せて、
笑いかけてくれた。

いつものように、他愛ない話をして、別れる。
別れはいつもMyが、またねっと立ち去る。
わたしはバイバイっと手を振る。
Myが首をかしげて合図する。

夏休みの午前中、暑い公園でのことだった。

そして9月の終わり、それが最後となるデート。

会ってすぐに、
わたしと内緒で会うのが苦しいとMyが言った。

Myを苦しめたくないから、別れようと言ったのはわたしだった。

二度と連絡しない約束をして別れた。


ひと月後、MくんとMyは、交際を辞めた。

それを知ってもわたしは、偶然にすれ違うだけの関係を保ち続けた。

今でも、Myへの思いはあるけれど。

デートの中で一度だけMyが、
Mくんと会う前にわたしと会いたかった、
そう言ってくれた。

わたしもMより先に、Myに会いたかった。
Mの影を感じず、他愛ない話をして、その続きを
またねって続けたかった。

もっと恋愛の経験があったなら、
そこで終わっては、いなかっただろうな。

苦しいわたしの失恋ものがたり。

メイちゃん、これで良いですか(笑)

メイちゃんもイニシャルMなので、
Myと書いたからね(笑)

サポート、ありがとうございます。もっと勉強して、少しでもお役に立てる記事を送りたいと考えております。今後ともよろしくお願いいたします。