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北欧サスペンスの原点『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』完全版 2020.6.21

世界的な北欧サスペンス・ブームはこれが火付け役といっていいでしょう。スウェーデンの元ジャーナリスト、スティーグ・ラーソンによる原作は2005年から3冊発表され、全世界30ヶ国以上で出版され、3年で290万部を超えるベストセラーになりました。その後、同じ主人公でダヴィド・ラーゲルクランツが続編を執筆、2019年の第6部『死すべき女』で完結しています。映画は、スウェーデン版が3部まで3本、ハリウッド版が1部と4部『蜘蛛の巣を払う女』の3本を映画化しています。

その第1部。スクープ記事の名誉毀損裁判で有罪を言い渡され、危機にたつ硬派の雑誌『ミレニアム』の発行責任者で、トップライターのミカエルに、突然舞い込んだ仕事の依頼。それは大企業ヴァンゲルグループを率いる一族に秘められた36年前の少女失踪事件の調査、でした。禁錮3ヶ月の収監まで、ほとばりを覚ますつもりで、スウェーデン北部の町ヘーデスタ、一族が住む孤島での仕事を引き受けたミカエルでしたが…。

シリーズの中心になるのは、このミカエルと、”ドラゴン・タトゥーの女”リスベット。彼女は、信用調査も行う警備会社にリサーチャーですが、鼻ピアス、ヘビメタミュージシャンのようなルックス、タトゥーありの変わり者。ハッキングが得意の凄腕調査員です。財閥一族の長、ヘンリックがミカエルを雇う前の身元調査を担当したのがリスベットで、途中から失踪事件の調査に協力することになります。

なんといってもリスベットが魅力的です。傍若無人、スタイルもいいですし、いざとなれば腕力もあります。第1作では少ししかでてきませんが、子供の頃に起こした事件があとを引いているようで、精神障害があるとされ、後見人の監視下にあるという訳あり風。ミカエルが追う事件と、彼女のストーリーが並行して描かれていきます。

完全版は全3時間、小説にはあるが、割愛されたエピソードはいくつかあるものの、文庫本400頁で上下の内容をうまく収めていると思います。途中までは、地道な調査、捜査が続きますが、最終盤、一挙に事件が解決になだれこむ感じ。財閥一族暮らす孤島の事件なんて、『犬神家の一族』みたいな趣きもあります。2010年のスウェーデン・アカデミー賞作品賞受賞作。何度観ても面白い!

完全版のDVDには、キャンペーンで来日したときの、リスベット役ノオミ・ラパスのインタビューが収録されています。これが信じられない清楚な女優さんで、この人をこの役でキャスティングした人はすごいと思います。彼女はこのあと、リドリー・スコットの『プロメテウス』に主演、『セブン・シスターズ』ではひとり7役で話題になりました。いまや国際スターです、

2010年1月16日日本公開
原題:Man som hatar kvinnor
製作年 2009年
製作国 スウェーデン
配給 ギャガ
上映時間 153分(完全版186分)
監督・脚本 ニールス・アルデン・オプレブ
原作 スティーグ・ラーソン
出演 ノオミ・ラパス/ミカエル・ニクビスト

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