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北欧サスペンス『THE BRIDGE ブリッジ』シーズン1 デンマーク&スウェーデンTVシリーズ 2020.6.9

デンマークの首都コペンハーゲンと対岸のスウェーデンをつなぐ橋、オーレスン・リンクというんですが、この橋の存在がポイントです。全長16キロ、国境の検問はありません。この橋のまんなか、国境線の上に、女性の死体がおかれていたところからドラマが始まるのです。通報によってかけつけたコペンハーゲン署と、スウェーデンのマルメ県警の、このヤマはどっちのだ、という縄張り争いは当然ありますが、被害者がスウェーデンの市議会議員だったことで、県警のイニシャティブで捜査が始まります。

ややこしいことに、遺体は腹部のあたりで上下に鋭利な刃物で切断されていたのです。どこかで殺されたあと、発覚の少し前、橋全体になぞの停電があり、その間に注意深く置かれたようです。その後、「真実を守るもの」と名乗る男が、スウェーデンの新聞社に犯行を褒めかすリークを行い、さらにデンマークラジオでは犯行声明を流します。それは、この事件ははじまりにすぎない、というテロの予告でした。

コペンハーゲン署の担当はマーティン・ローデ刑事。一見人情派叩き上げ風ですが、タフな中年の凄腕ポリスです。マルメ県警は、女性刑事サーガ・ノレーン。独身で、空気よめない系だが、頭脳明晰、私生活はあっけらかんとしたフリーセックス主義。ともかくこのふたりの対比が最高に面白いんです。

下半身の死体がデンマークの娼婦のものだと判明したことから、二国の合同捜査になるのですが、本当に橋をわたればすぐ、なんですね。毎日、両国を行ったり来たりが始まります。言葉はどうなんだろう。吹き替えで見てしまったので、何の違和感も当然なかったですが、デンマーク語とスウェーデン語の両方が使われ、それぞれ字幕表示されたようです。見た目のちがいは全然ありませんし、行き来もさかんなようで、言葉もある程度わかるんでしょう。国をまたがる捜査ものにありがちな、カルチャーギャップというか、お国柄ちがいは、あまり感じられません。たぶん、細かいセリフのなかに、両国人でなくてはわからない、ちがいをさかなにした、からかいとか、あるんでしょうね。

政財界や警察内部のスキャンダル、ホームレス、移民への暴行といった社会問題など、回を追うごとに話は複雑になり、9話になると、いやあ、この事件いったいどうなるのだと思いましたが、意外な結末。それにしては、途中いろいろありすぎです。つまるところ、ふたりの刑事が最高に面白かったというのが感想です。だから、シーズンが続いたのでしょうね。

今回のコロナ禍では、国境はたしか閉鎖されたはず。橋はどうだったのだろう?

2011年9〜11月、本国放送
英語題 THE BRIDGE
製作年 2011年
製作国 デンマーク/スウェーデン
全10話
製作総指揮 ステファン・バロン
監督 シャーロット・シーリング
脚本 ハンス・ローセンフェルト 
出演 ソフィア・ヘリン(サーガ)/キム・ボドゥニア(マーティン)

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