『“ダンシング・クイーン”ABBAと王妃の知られざる物語』NHK BSプレミアム「アナザーストーリーズ」選 2020.4.28
最近ではミュージカル『マンマ・ミーア』で楽曲が使われて、再注目されたABBAですが、デビューは1974年、懐かしい存在です。代表曲は『ダンシング・クイーン』でしょうね。あの歌とスウェーデン王室との深いつながりを探ったTVドキュメンタリー。『ダンシング・クイーン』にまつわる秘話です。この話、知りませんでした。
1976年6月、スウェーデンのカール16世グスタフ国王結婚式前夜、ハプニングは起きました。王室オペラ座での記念コンサート、オペラの楽曲が続いたあと、突然クラシカルな衣装を身に着けたABBAが登場し、この曲を歌います。ロイヤルボックスで聞いていた女性の顔がみるみる変わっていきます。その女性こそ翌日王妃となるシルビアさん、まさにリアル・クイーンだったのです。
72年、ミュンヘン五輪のコンパニオンだったシルビアは、当時皇太子だったグスタフに見初められ、逡巡の末、婚約を決めるのですが、貴族でもなくドイツの平民の娘で、スウェーデン語もできません。国内での反対の声もあり、結婚にはかなりナーバスになっていたようです。この日の会場でも緊張の極のような硬い表情が続きます。それが、この曲で一挙に身持ちがほぐれ、にこやかでチャーミングな表情をみせるようになります。
ABBAは当時、まだ人気絶頂というわけではありません。前夜祭の女性演出家が、王室に新風をもちこむ新王妃へのエールとして、ポップ・グループであるABBAをばってき、彼らもそれに答え、未発表の『ダンシング・クイーン』をシルビアに捧げる歌として、この席で初めて発表したのでした。
番組のサイトでディレクターが書いていますが、このハプニングについての資料がなく、43年前の中継映像のクレジットから、この演出家の名前を探し当て、インタビューできたとのこと。すばらしいですね。クイーン・シルビアの笑顔は、みているとこちらも幸せな気持ちにさせてくれます。
ABBAの人気はその後世界に広がりますが、なかでもオーストラリアは早くから火がついた国。あのラッセ・ハルストレムがデビュー間もない頃に監督した『アバ/ザ・ムービー 』もオーストラリア公演ツアーを記録した映画でした。番組は、『ダンシング・クイーン』が、この国の同性愛の人たちにとっての愛唱歌となったこと。そのいきさつが語られます。シドニーで毎年開かれる世界最大規模のLGBTQIパレード「マルディグラ」ではいつもテーマソングのように歌われることが紹介されます。シドニー五輪の開会式でも歌われたんですね。
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