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 ”3プラス1” 『クロノ・トリガー』(英語版)

 はじめに

 前回『 ”三人”ではなかった 『クロノ・トリガー』(英語版)』でゲー

ムソフト『クロノ・トリガー』を英語にすると賢者の数は三人ではなく、四

人になることを述べた。


 以下、箇条書きにまとめる。

  • 英語版では少数のキャラクター名が変更されている。変更となった人物の中に”Magus"という名前に変更となった者がいる。

  • ”三賢者”の名前の由来。英語版では新約聖書の『東方の三博士』に由来した名前に変更。

  • 出典元である『新約聖書 マタイ福音書』には東方の博士の記述には、明確な人数・名前は書かれていない。

  • 三つの贈り物(黄金、乳香、没薬など)から慣習として博士の人数は三人となっただけ。

  • 英語辞典で”東方の三博士”を意味する”Magi"。この言葉は複数形であり、単数形は”Magus"である。”Magus"を加えて賢者の人数は四人である。

  • ”Magus”とは別に、キャラクター名を組み合わせたアナグラムに、固有名詞をもった『四番目の賢者』も存在している。

 今回の内容

 以下の三つに沿って記述する。

  1. ”四人目の賢者”と呼ぶべき人物の正体

  2. ”四人目の賢者”という呼称の根拠

  3. 根拠となる物語

 ”四人目の賢者"と呼ぶべき人物

 結論

 結論から言うと”四人目の賢者”は『タバン』パーティキャラクターの一

人『ルッカ』の父であり、ゲーム最序盤で出会う彼こそが”四番目の賢者”と

名乗ってよいキャラクターである。

 家族構成

 王国歴1000年のガルディア王国トルース町に妻『ララ』、一人娘『ルッ

カ』の家族三人で暮らしている。王国歴600年のトルース村には先祖で鍛冶

屋の『バンタ』がおり、『バンタ』の「才色兼備の女の子がほしい」という

夢は『タバン』によって果たされることになる。

 能力

 『タバン』は発明家であり、その識見・技術は古代に登場する三賢者と互

角のものをもっている。『ルッカ』専用防具を3つ制作したり、また扱いが

難しく加工技術を持つ者もわずかとなった原料を『ルッカ』共々加工してい

ることからもその技術力の高さが窺い知れる。

 主人公たちへの協力

 トルース町のリーネ広場で行われたガルディア千年祭で一人娘である『ル

ッカ』の開発したテレポッド(転移装置)のお披露目に立ち会う。そこで偶

然起こったタイムトラベルに対して『ルッカ』と共に主人公『クロノ』に協

力。同じ現象を起こして『クロノ』をタイムトラベルさせることに成功す

る。見えない部分で『ルッカ』にも協力(キーアイテムの作成、科学理論の

実証などか?)したと思われる。


 中盤以降、『ルッカ』の家を訪ねて彼と会話すると、タイミングさえ合え

ば『タバン』製造『ルッカ』専用防具を3つ入手することができる。また扱

いが難しく加工技術を持つ者をわずかとなった原材料をルッカ共々加工。主

人公たちに渡してくれる。ゲームソフト『クロノ・トリガー』はマルチ・エ

ンディング方式だが、通常のエンディングでタイムマシンが存在する場合、

『タバン』の行動で物語は締めくくられる。

 英語版のつづりは。(コンフィングで言語を日本語から英語に選択して設定)


 英語版だとつづりは以下の通り。

     タバン(Taban)                 ララ(Lara)


 次に二人の文字をアナグラムしてみる。

     タバン(taban)  +  ララ(Lara)
                  →アルタバン(Artaban)

 ヴァン・ダイク作『The other wise men』の主人公で四番目の賢者アルタ

バンが偶然にもタバン(Taban)とララ(Lara)の名前に隠された形になってい

る。

 ヴァンダイク:作『The other wise men』


 1896年、アメリカのヘンリ・ヴァン・ダイクによる短編小説。新約聖書マ

タイ福音書の『東方の博士』の記述を大胆に解釈。キリスト教文学の世界的

傑作と称され、日本では『もう一人の博士』『主を追い求めて』『アルタバ

ンのたび』『アルタバン物語』と呼ばれることもある。

  あらすじ

 ゾロアスター教の僧(マギ)であり、他の博士の約束に従い、集合地点に

向かう途中、行き倒れの人を助けたために他の賢者との集合に遅れてしまっ

四番目の賢者『アルタバン』の生涯を描いた物語。

  主人公に協力する”賢者”たち



 アルタバン、メルキオール、バルタザール、カスパー、そしてMagus。ク

ロノ・トリガー(英語版)は『東方の博士』に由来する者たちが主人公たち

の旅に協力していく物語ともいえる。この理屈だと、物語の最序盤にアルタ

バンがしたとある行動は『クロノ・トリガー』の裏テーマともいえる。

 文が長くなってしまったので『3プラス1』(その2)に続く。 

 

参考文献
『クロノ・トリガー』DS スクウェア(現スクウェア・エニックス)1995/2008
『もう一人の博士』 作・ヴァンダイク 訳・岡田尚 絵・佐藤努 新教出版社 1983
『もうひとりのはかせ』 作・ヴァンダイク 文・中井俊巳 絵・おはらまりこ 新教出版社 2018
『聖書』 新約聖書(1954改訳)マタイによる福音書  日本聖書協会 1977