【サピエンス全史要約】帝国と想像上の秩序
村落から帝国へ
約1万2千年前に農業革命が起こって以来、サピエンスは数千年かけて村落から帝国を築き上げた。
最初は村落同士の食料交換から始まり、その村落同士が集まって暮らすようになり大きな村落ができる。
その大きな村落から町へ、町から都市へ、都市から帝国へとスケールが大きくなっていった。
しかし帝国は民全員を養えるだけではいけない。
たとえば戦争が起こったとき帝国は見知らぬ他人同士を組織して戦わせなければならない。
だから帝国には民の行動や考え方を統一する想像上の秩序が不可欠なのである。
想像上の秩序
著者曰く、想像上の秩序とは
私たちの想像の中にのみ存在しているが、冒すべからざる現実だと私たちが信じている一群の規則。
と説明されている。
たとえば日本国憲法の刑法第199条には
「人を殺したものは、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。」
とあり、これは日本国民が殺人を犯さないように行動を制限している。
この本では想像上の秩序は宗教と同じ意味で用いられている。
帝国による発明①:貨幣
このように想像上の秩序で統一さえているとはいえ、見知らぬ人と物々交換をするのは難しかっただろう。
なぜなら信頼(credit)が足りないからだ。
そしてその信頼を補うために、信頼のおける機関である帝国が貨幣を発行し始めたが、貨幣の威力は想像以上に凄まじかった。
例えば15世紀の娼婦の多くは性行為で稼いだお金で免罪符を買っていた。
これは貨幣を介して身体を信仰に変えた、とも言える。
帝国による発明②:書記体系と官僚制
帝国では、数百万の民からの税収などを記録しておかなければならなかったので人間の脳では限界だった。
そこで粘土版などに書き記すようになった。
しかしこの段階では文字は数字を表すためだけのものだったので、法律や物語はかけなかった。
その後メソポタミア文明は楔形文字、黄河文明では甲骨文字など数字だけでなく言葉も書けるようになり法律なども文章化されるに至った。
上の画像は粘土版で、メソポタミア文明ではこの粘土版に楔形文字で税収や王令が保存された。
またデータは保存するだけでは意味がなく、必要に応じて適切なデータを引っ張ってくる必要がある。
この仕事を担当したのが書記官であり、書記官は王と直接会い命令を保存したりもしたので自然と権力が高まりのちの官僚となっていった。
最強の秩序、宗教
さて、今回見てきたように帝国は法律や貨幣、書記体系で帝国の運営を効率よく行ってきた。
だがこの時代の大半の人は農耕という苦しい仕事に従事する民であり、万が一反乱が起きたら数的不利な帝国が負けてしまうだろう。
ではなぜ農民は反乱も起こさず、王に従ったのだろうか?
それは宗教という最強の秩序によって王がしかるべき理由によって王であると信じていたからである。
次回のサピエンス全史要約はその宗教についてです。
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