初めて絵画で泣いた私へ

高校生のときに、ぼんやりと見つめていたテレビに映るとある絵画をみて、私はまるで小さな子どものように泣いた。どうしてこんなにも胸が苦しいのかはわからなかった。わからなかったけれど、私はいつかこの絵を見に行くのだとはっきりと確信していた。

その絵画は、クリムトの『接吻』であった。
あまりに有名な作品だが私はこのときはじめてこの作品をみた。
作者も、絵画の名前もわからなかったが、とにかく胸が苦しくて
いつかこの作品をこの目で見たいと思った。

しばらくして、あのときの絵画がクリムトの『接吻』であること。
そしてそれはオーストリアのベルヴェデーレ宮殿でしかみることができないことを知った。海外に行ったことのなかった私にはとても衝撃的なことだった。

でも、それでも、
私はいつかこの絵画をこの目でみるために海を越えるのだろう。
私の憧れの場所。それはベルヴェデーレ宮殿。
金箔で包まれる男女の絵の前。
私はそこで、生きていることを実感したい。

#一度は行きたいあの場所

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