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#165 選挙はいいぞ

 今項、今回の選挙についてのネタバレ無し。ご安心ください。

 選挙に行こうとか行かねえとかいう問題以前の問題として国政選挙が好きだ。都知事選挙ははじめっから全部わかってるところが興ざめだし、区議選挙レベルまで来ると娘が選挙カーの候補に手を振ろうもんなら候補がわざわざ車を降りて支持と握手を求めてくるから距離感が怖い(その目は遠く未来をみて血走っていた。トラウマ)。国政選挙だとなんか事前の報道を観て「あっ」とか「うっ」という気分になるのもいいし、街頭で候補者を見て「ずいぶん(タッパが)でかいやつだなぁ」というのもいいし、饒舌しゃべりかたを聞いて「こいつは元ヤンが人前で丁寧に喋ろうとしてるやつだ」と勝手にピンとくるのも面白え。当日意味もなくすげえ早朝に引換券だけをもって投票所に行くのもいいし、投票権に鉛筆で書くときのシャシュショっとした書き味もたまらねえ。帰ってくるときの完全に丸腰な様子に物陰から鬼でも出てきたらどうしようかと思う。とても太刀打ちできない。

 それでNHKの(ラヂオならなお可)開票速報で「○○さん6回目の当選です」とか聞きながら深夜までウダウダ過ごすのが楽しくてたまらねえ、となんでこんなに力を込めて(当社比)書いているのかと云えば、ここまで高揚感のあるイベントはあんまり身の回りにないからなのであった。

 ナニが楽しいのであろう、ということをつぶさに考えるにつけ、実は「○○さん当選です」よりも「○○さん落選しました」「○○さん比例復活もなりませんでした」のほうが楽しい。と、おいおいおいおいおい、するってぇとなにかいおまいさん、それぢゃああんたは人の不幸が楽しいってのかい、と脳内おかみさんにただされて考えることしばし、いやでも「○○さん返り咲きです」にも心動かされることに気がついた。要するに、ラヂオから聞こえてくる情報から勝手にドラマを見出して楽しんでいる、という構図である。それだけか、と云われると、それだけだ、と書いてしまって、やや椅子の上で意気消沈しょんぼりしてしまうのだが、でも、だがしかし、政治の面白さ、いや、おおむねの面白さはドラマの部分であろうと思うのだ。眠れない夜は昭和の政治家のwikipediaのリンクを踏みに踏んで楽しんだり、佐久間信盛に織田信長がブチ切れたあたりから一向宗に思いを馳せてみたり、つまるところはそういうエピソードから読者が勝手にドラマを汲み取って楽しんでいる、と、それは自分の仕事もその延長線上にあるんだよなあ、読者にドラマを想起させる仕事をしなきゃあいけないなあ、というのは自覚としてございます。

 選挙はいいぞ、という記事を書こうとして想像以上に筆者おのれがしょんぼりしてしまい、なんだか急にテンションが下がってきてしまったのですが、これ、今週末の開票速報、楽しめるかなぁ。こんな記事を書いたことも忘れてハフハフできるのかあたしゃあ、と、あ、でも、さっき見たニュースだと

 自公過半数、微妙な情勢 自民は単独過半数割れの公算 朝日情勢調査(朝日新聞、10月20日)などという記事もあり、「おや、朝日というバイアスはあるが、ちょっと前までは自公で過半数やっていけるはづでは」などと考え、このタイミングでこの記事が出る意味とは、などと考え。まあなんにせよいろんな人が一喜一憂するさまを見られると思うのでこれからもやっていこうと思った。何をだ!


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ながちろ
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