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BG2, SoA, 第5章、ソラウフェンと主人公の対話、フィーレとソラウフェンの過去

<ウスト・ナーサにて。フィーレにソラウフェンの暗殺を命じられてその住まいを訪れた主人公は、出てきたソラウフェンに一部始終を語る。なお、主人公はドロウに変装してヴェルドリンという偽名を使っている>

主人公
「フィーレがあなたを殺しに私を寄越したの、ソラウフェン。でも、私はそうするつもりはないわ」
ソラウフェン
「そうか。彼女がそうするのは時間の問題だったな、たぶん。俺がどこの家と同盟を結んでたところで、俺の背中に見えない短刀が突き刺さるのは防げまいな」
「フィーレと俺とは…昔、恋人同士だったんだ。マザー・アルデュレイスは、フィーレの俺に対する心の持ちようが全然”ドロウらしくない”として、彼女を女官どもの手に引き渡したんだ」
「女官どもは彼女を触手杖*でさんざん打ちのめして折檻した…想像するだけで震えが止まらなくなるような折檻だ。奴らが折檻を終えたとき、フィーレのなかにはもう野心以外のものが残っていなかった」
「そして俺は…俺という存在は、彼女にとって自分の過去の弱さを絶えず思い出させるものでしかなくなったのさ。(ハァ)いつかはこうなると、ずっと前から俺は思ってたんだ」
「そういうことなら、もしお前に俺を殺す気がないというなら、俺たちはどうしようというんだ?」
主人公
「フィーレにあなたを殺したという証拠にするから、あなたのピウォファイ・クロークを渡して…でも、あなた自身はどうするつもり?」
ソラウフェン
「クロークを持っていきな…俺にはもう用のないものだ。俺自身は…俺はどうするか。都市内で姿を見られるわけにはいかん。お前の命も俺の命も危うくなる」
「それに、俺の家とデスパナ家*との間に抗争も起こしたくない。俺は…俺は、真のドロウの敵ではない、不正でも邪悪でもない者を傷つけたいと思ったことはないんだ」
「俺は…なぜお前にこんな話をするんだろうな…たぶん、お前が俺に情けをかけてくれたからだろうな。だが、俺たちドロウは正しい路から逸れちまったと思う。元に立ち返るべきなんだ」
「俺は、俺と同じ考え方をする連中を探すことにするよ。見つからないよう身を隠して、お前の慈悲に背くまい、ヴェルドリン」
「俺に情けをかけてくれてありがとう…俺たちドロウにも希望はあるらしいな。どうか…どうかイーリストレイー*、レディ・シルヴァーヘアが、お前たちを常に見守らんことを」


*ドロウ独特の強力な武器。杖の先に触手が3本着いていてそれで相手をムチ打つ。魔力を帯びているものもある。
*フィーレが属する一家。ドロウ社会は貴族の権門家の家長(女性。マトロン・マザーという)たちの合議によって統制されている。
*ドロウの女神。別名レディ・シルヴァーヘア。ロルス女神の娘だが、邪悪で残酷な母と違って芸術や平和を愛し、地下を出て地上のエルフと融和して暮らすことを目指している、ドロウには数少ない平和愛好者の守り神。

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