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家の材料の考え方(基本編)

家が何からできているか、考えたことはありますか?
家は色々な材料の集合体です。
どんな材料で家を作るのかは、家の性格を大きく決める要素です。

つい最近まで、家の材料は近所で集めてくることが当たり前でした。大きな家を作るためには、材料も大きくなくてはならず、遠くから運搬してくる材料で家を建てることは割りに合わなかったからです。

なるべく近くで採れる、木材や石、土などを巧く組み合わせ、快適な住環境を生み出す工夫を私たちの先祖は編み出し、発展させていきました。
そのため、建築には地域性が色濃く反映され、世界中で様々な建築様式があり、旅行の一つの醍醐味として多くの観光客が建築物めがけて移動します。

「建築には地域性がある」この原則は、現代でも変わらない大原則です。
自宅にどうしても使いたい木材がある。でもそれは輸入材で非常に高価だ。そんな状況はよくあります。裏側から考えると、木材が高級なのではなく、高価な輸送コストがかかっている、何て事例もちらほら。国によっては人件費の高い安いもあるので、木材について考えるだけでも様々な国際情勢に思いを巡らせることになります。

家は、どうやっても高価な買い物となります。そのため、いかにコストを下げ、満足度の高いものを作るかが設計施工の目標となります。
「近所の材料で、いい家を作る」ということは、家づくりの原則から考えてもコストパフォーマンスの高い家づくりの考え方と言えそうです。

この考え方とよく比較される考え方が、「新建材」を使った家づくり。そもそも新建材は、現場での手間を極力かからないようにすることで人件費を抑え、住宅費用を抑えることを目的に開発されました。大きな工場で建材の量産体制を作り、全国へ発送、現場で組み立てるという方式です。経済成長とともに大きな需要のあった戸建て住宅を量産する、ということにおいて非常に大きな役割を果たした考え方でした。
しかしまた、日本の住宅寿命の短さは、この早くて安い、簡易的な家づくりと共犯関係だったとも言えます。

ここ最近は、「とにかく家を丁寧に作って欲しい」という需要が増えています。この感覚は、かつて大量に作られた日本の家で育った方々が、住宅購入適齢期になり、「自分が育った家とは違う考えの家」を欲しがっているようです。

繰り返しますが、家づくりは、たくさんの材料をどう組み立てていくか。家の印象は、どんな材料を使うかによって大きく変わります。
丁寧な家は、「何で家を作るか」で決まる、と言い切っても過言ではないのです。


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