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世界の決済シリーズ:タイ編

銀行口座決済を簡単にするPay by BANKを開発中のBANKEYがお届けする世界の決済シリーズの第二弾はタイ編です。

序章:タイで大変!

2024年4月のこと、筆者の友人がタイに出張に行きました。
商談が上手く進み、美味しいタイ料理とシンハービールで軽く打ち上げをした後にタクシーでホテルまで帰りました。
あと少しでホテルに着くというところで急な腹痛…ト、トイレ…
腹痛を堪えながらようやくホテルに着いて急いでタクシー代を支払おうとしようとしたところ、「No Credit card!」と。そして目の前にはQRコードが。
友人は(終わった…)と思ったそうです。
*ホテルの方に助けてもらってタクシー代を支払うとともに尊厳は守られたとのことです(真相は知りません)。

国営QRコード決済PromptPay

タイではタイ中央銀行(BOT)が推進するPromptPayが、個人間および企業間の迅速かつ低コストな決済を可能にするリアルタイム決済システムとして急速に拡大しています。2016年の導入以来、国民IDや電話番号を利用して送金ができるシステムとして、タイのデジタル決済の普及を大きく後押ししています。そしてこのPromptPayは銀行口座と直接紐づいておりインドのUPIと同様の仕組みです。

PromptPayは公的インフラとしてその手数料はかなり抑えられており、Open APIによってインターフェース企業がサービス開発を容易に行うことが出来ます。

(PromptPayの個人間送金の手数料)
5,000バーツ未満:無料
5,000〜30,000バーツ:2バーツ(約6円)
30,000〜100,000バーツ:5バーツ(約15円)
100,000バーツ以上:10バーツ(約30円)

モバイル決済

タイのモバイル決済は主にQRコードを利用した決済が一般的で、多くの店舗やオンラインプラットフォームで利用することが出来ます。
これらのQRコード決済はPromptPayのインフラを活用して銀行や独立系フィンテック企業がアプリとしてのインターフェースを提供しており、ユーザーは多様な選択肢の中から自分の好みに合わせて選ぶことが出来ます。

デジタルウォレット

デジタルウォレットもタイで拡大中です。Grab Pay Wallet、TrueMoney WalletやRabbit LINE Payなどのサービスが広く利用されており、これにより消費者は現金を持たずに買い物やサービスの支払いを行うことができます。これらのウォレットは、プロモーションやキャッシュバックなどのインセンティブを提供し、ユーザーの利用を促進しています。

政府の取り組み

タイ政府は、キャッシュレス社会の実現を目指して積極的に取り組んでいます。政府は「Thailand 4.0」戦略の一環としてデジタルインフラの整備を進めています。
古くからタイでは都市部への人口集中と農村部との格差が1つの社会課題になっています。政府はこれまで製造業の海外からの誘致に力を入れてきましたが、国内向けにはデジタル化を通じた農村部の金融包摂を強化しています。PromptPayの普及もその一環とされています。
また、Covid-19によるパンデミックも、デジタル化を加速させた背景です。接触を避けるために多くの消費者が現金からデジタル決済に移行し、オンラインショッピングやデリバリーサービスの利用が増加しました。

まとめ

タイの決済システムは、政府の支援と技術革新によりここ数年で急速に発展しています。PromptPayをインフラとしたモバイル決済、デジタルウォレットの普及により、タイの消費者は利便性の高いキャッシュレス決済を享受しています。またこれらの仕組みは給与を受け取る銀行口座を起点に極めて低い手数料で運用されているという点にも注目です。
(銀行口座起点の決済になると旅行者にとっては実は優しくないんですけどね)ではまた!

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