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楽しさの真髄 -ボドゲプラス29 参加体験記-

土曜、日曜と東海地区に向かった。
主たる要件は土曜日の動画収録だ。この件は関係動画等が更新された際に後でまとめることとし、今回は翌日参加したボードゲーム会の感想を綴ろうと思う。

収録そのものを滞りなく済ませた僕、今回「収録が延期となった場合」に備えて翌日曜に予備日を設け、近場のホテルで一泊することにした。

普段の僕なら、空いた日は東海地区近傍のお店を周り、お世話になった、ご迷惑をおかけした旨のご挨拶に回る予定を組んだはずだ。しかしながら、この週末にかけて急増を見せた新規感染者数から目を背けるわけにもいかない。迂闊にあちこちと回っては、それこそお店の方にご迷惑をかけるかもしれない。

どうしたものかと悩んでいると、不意にDMに通知が届いた。
「もしよければ遊びに来ませんか」
相手はtoyさん、日曜に開催されるボードゲーム会「ボドゲプラス」の案内だった。toyさんは会を一手に担う主催者で、聞けば今回、参加者に1名の欠員が出たため、もしご都合が合えば、という内容だった。

「ボドゲプラス」は愛知県春日井市で開催される人気のボードゲーム会で、その人気ぶりは、毎度30、40名ほどの募集定員が即日満了となる、東海地区屈指の人気ボードゲーム会だ。
会を取り仕切るのは、笑顔と明るい声が印象的な主催のtoyさん、ゆうほさんの御二方だ。
自分も一度機会があれば参加したいと願いながら、気がつけば毎度定員を迎える人気ぶりに半ば諦めかけていた。
千載一遇のチャンス!と、頭より先に指先が反応した僕は、即座に「参加します!」と二つ返事で返信し、翌朝、岐阜市内から一路JR春日井駅へと向かった。

レディアンかすがい、市の施設です

今回の会場は青少年女性センター「レディアンかすがい」。ロビーで迎える春日井市のキャラクター「道風くん」は、かの小野道風をモチーフとしたキャラクターだ。花札でもお馴染みの、柳に捕まろうと懸命に飛ぶ蛙を眺める、あの人物である。

引用「道風くんについて|春日井市公式ホームページ(https://www.city.kasugai.lg.jp/shisei/kasugai/shonomachi/tofukun_profile.html)」より
花札の雨札、こちらの人物が小野道風

会場となる3階の会議室は、100名弱の参加者が一堂に入るほどの広さだ。僕は他の参加者とともに机を並べ、ボードゲームを置くスペースや、遊ぶためのテーブルなどの会場設営に取り掛かった。会の常連さんらがテーブルの指示を聞くまでもなく大きなテーブルをひょいひょいと配置する。
今回の参加者は僕を含め33名、基本的に飛び入りの参加は受け付けない上での人数掌握、加えて、各テーブルには長机が2ないし3個が並べられ、いわゆる「三密」が回避されるように配慮された。もちろん参加者全員がマスクを着用したりといった基本的な感染症対策は確保されていた。

20分ほどで設営を終えると、続々と集まる参加者らを、この日も終始笑顔のtoyさん、ゆうほさんら有志が出迎えた。

部屋の片隅に設けられたスペースに、各人が持ち寄ったボードゲームが早速並べられた。
用意された名札に名前を書き、テーブルの好きな一画に各人のボードゲームをまとめて置く。他の方に借りたいときは、名札にある方の許可を得て持ち出す仕組みだ。
大きなカバンを持参する参加者からは、有名ボードゲームから、初めて見るレアな海外ボードゲームも多数用意された。

ホワイトボード

全体の流れと、今回のイベントなどがホワイトボードに書き込まれると、いよいよ「ボドゲプラス」の開場だ。
「はじめの会」と称し、主催から諸注意や今回のイベント、初参加者の紹介、そして「今回自分が遊びたいボードゲーム」を紹介を交えて発表する」時間が取られた。
なるほど。事前に全体に向けて申告することで、当日自分が一番遊びたいボードゲームを周りにアピールすることができ、卓も立てやすくなる。せっかくの機会だったので、私も思い切って「ボードゲームのクイズを用意しました!」と名乗りを挙げた。

早押しボタン、セット!

滞りなく各テーブルが賑わいを見せる。

今回のイベント「ボドゲプラス杯」では、先日発表されたドイツ年間ゲーム大賞にちなみ「scout!」の大会が催され、会場の一角では初心者から熟練者まで多くの参加者の熱戦が繰り広げられた。
前日の疲れからかついボーッとしてしまった僕は、慌てて他のテーブルを周り、卓に混ぜてもらうことにした。

scoutが並ぶボードゲーム会(左のトロフィーをかけて争います)

遊んだゲームを簡単に紹介すると


ミリメモリー

「ミリメモリー」
アークライトゲーム賞2022最優秀賞受賞作。頭の中のそれぞれの感覚の違いを楽しむ作品です。「インチ」と「フィート」を完全に勘違いした僕は一撃でドボンの憂き目にあった。



nur-die ziege zahlt(ヤギの愛)

「ヤギの愛」
数値カードのみのビッド系トリックテイク。点数が急に伸びる様が、求愛のために岩場を駆け上るヤギに見立てられ、ついつい引き込まれました。どこかで入手できないか探したいと思います。



敗者の権利

「敗者の権利」
5スートノートランプのトリックテイク+エリアマジョリティ。タイトル通り「負けることで得られる権利」がテーマ。スートが5種類のため人数次第では何度か「これは確実に負けられる!よし!」と振り切れる辺りのバランスが見事でした。



投げ投げブリトー(アボカドは別売)

「投げ投げブリトー」
基本はリアルタイムカードゲーム。掛け声がかかったらテーブルのブリトーを投げ合うルールへと移行。国内未発売の「アボカド」も加わるとゲームは混沌を極め……ブリトーは柔らかく、当たっても痛くはない素材ですのでご安心あれ。近日、日本語版も発売予定です。



まっぷたツートンソウル、今日一面白かったです

「まっぷたツートンソウル」
ポップでライトな絵柄に軽めの印象を持ちましたが、実はじっくり骨太なコミュニケーション推理ゲーム。徐々に明かされる周囲のヒントから自分と同じ前世カードを持つ人物を推理する、今回遊んだ中で一番面白かった作品です。


ミノダイス、スカルキングダイスのようなルール

「MINO DICE」
ダイスのみを使用したビッド系マストフォローのトリックテイク。特殊ダイスはありますが、場に出す際に必ず振り出す必要があり、勝利の確証はできません。そのため勝利数予想に毎度苦しめられました。



これも後で購入する予定の「ヘルプ!」

「ヘルプ!」
カードが出せなくなったら右隣にヘルプ!出せなくなったら双方ドボン、気の合う仲間同士ワイワイ遊びたい傑作です。気の合う仲間が5人集まった時はマストです。


休憩を挟みながら久しぶりのボードゲーム会を堪能する僕。
周囲のテーブルを見渡すと、至る所で「toyさんこっち!」「toyさんここ(卓)入って!」と声が上がっていた。
僕もtoyさんと何度か同じテーブルを囲み、その都度、嬉々としてボードゲームをプレイするtoyさんの声が遠方からも届いた。
「やめろよぉそのカード!」
「わかるわかる!これ、いいゲームだねぇ!」
「これはもう大傑作!」
などなど、疲労する素振りなど一切見せず、目の前のボードゲームに真正面から楽しむ、そんな姿を僕は羨むように眺めた。

嬉しさや笑顔は不思議と伝播するもの、周囲もそんなtoyさん、ゆうほさんらに共鳴するかのように各テーブルでワイワイと喝采の声を上げた。きちんとマスク着用を遵守した上で、緩んだ目元や会場全体に漂う雰囲気から、参加者らの楽しむ姿が肌身で伝わった。

「楽しんでますか?」
会の途中で、ふと、toyさんにそう声をかけられた。
すごく楽しいです、と伝えると、「バンちゃんさんが楽しむことが会の第一ですから!」と答えてくれた。

他愛もないやりとりの中、あっという間に終了の時間を迎え、逐次会場の撤収に取り掛かった。
会の最後は、本イベント恒例となる「今回遊んだボードゲームを一堂に揃えた記念撮影」の時間だ。
遊んだボードゲームをホワイトボードに記録する会は見かけるが、記念撮影の時間を設ける会も珍しいと思い、自分の早押し機もいそいそとテーブルの一画に並べた。

締めの挨拶を迎え、今回のボドゲプラス杯scout!大会で優勝された方が表彰された。広い会場内から拍手喝采が響いた。
優勝商品は「トロフィーと記念撮影できる権利」。私も次回こそは参加、入賞を狙うと誓った。

2次会は近くのボードゲームカフェ「スクリーン」様へと移動した。こちらでは毎週水曜夜のツイキャスライブ「toyさんのだだ漏れ会議」が収録されるお店でもある。
看板ワンちゃん、猫ちゃんが出迎えるカフェは、連休中日となるこの日も満員のお客様で賑わっていた。多数並べられたボードゲームに加えお料理も絶品で、2次会に参加された多くの方が美味しい料理に舌鼓を打った。

スクリーン様(写真を撮り忘れたため1か月前の写真から引用)

2次会でもtoyさん、ゆうほさんらの人気は高く、会場でまとまった時間の取れなかった参加者らが親しくお話を繰り広げたり、持ち寄ったボードゲームをそれぞれの場所で広げたりなどのんびり過ごした。
帰りの新幹線の時間も迫っていたため、僕は周囲に軽くご挨拶を済ませたのちにお店をあとにした。

別れ際、toyさんに今回の急な参加のお詫びと、会を堪能できたことへの御礼を伝えた。
「僕は、参加される方全員が大好きなんです」
屈託のない笑顔でtoyさんはそう答えた。

察するに、ボードゲーム会の主催は本当に大変だ。
会場の調整に参加の告知、当日の設営に不意な対応、等々、何から何までを一手に背負う形となる。さらには本感染症禍に伴う各種の制約事項が保たれているかをくまなく監視しなければならない。主催一人にのし掛かる重責は推し量るに忍びない。

そんな中、「ボドゲプラス」が愛される理由のひとつに「皆がtoyさんを信頼し、一方でtoyさん自身も全参加者を信頼する」の両天秤がうまく釣り合っているからではないか、と考えた。

まだ見ぬボードゲームとの出会いももちろん本会の持つ大きな魅力だ。しかしながら、それ以上に「主催や参加者らと語らい、親しむ機会」が設けられることこそ、毎回盛況となる本会の秘めたる大きな魅力だと、今回参加して大きく頷いた。

主催としての重責を担いながら、自分の役割を果たすと同時に、主催者自らがイベントを楽しむこと、それこそが、実は本会の参加者全員の望む姿だったと理解した。
「主催はボードゲームを楽しめない」「すべてのキツイ仕事を主催がすべて背負う」「主催者は大変な役回りだ」etc……
そんなマイナス面ばかりではなく、会を切り盛りする中で、何より自分自身も参加者とともに楽しい時間を共有する、その上で、主催を含む参加者全員が「今日一日ボードゲームで楽しんだ!」と満足できるような、その時間を醸成する本イベントに、何かtoyさんゆうほさんの求める「楽しさの真髄」のようなものを垣間見ることができた。


ボードゲーム会「ボドゲプラス」は、次回8月で第30回の節目を迎える。
遠方ということもあり参加は叶わないかもしれない、けれど、たとえ参加が叶わずとも、会の盛況と、主催のtoyさん、ゆうほさん、そして会に携わるすべての参加者の嬉しさ、楽しさを心から応援したい、そう願う僕だった。(了)

帰りの新幹線

追記


次回ボドゲプラスNo.30の募集が先ほど開始されておりましたので追記致します
(7/18(月)22時現在で残りは5席、激戦です。お申し込みはお早めに!)

https://twipla.jp/events/515528

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