マガジンのカバー画像

小説『琴線ノート』

28
一人の若手作曲家とSNSで歌のカバー動画をアップしていた女の子が出会い、 音楽と人間性に触れて心動かし、共に歩んでいく物語を お互いの側面から語る小説『琴線ノート』のまとめです
運営しているクリエイター

2024年8月の記事一覧

小説『琴線ノート』第12話「ギャップ」

電車で降りたことのない駅に私は向かっていた ノイズキャンセリング機能付きのヘッドホンをつ…

新川万詩郎
2か月前
1

小説『琴線ノート』第11話「独り言」

ヒナ太が仮歌を入れてくれる日が2日後の 平日の午後に決まった 場所はこの自分の部屋で行うこ…

新川万詩郎
2か月前

小説『琴線ノート』第10話「儲け物」

仮歌とは何なのかを知るべく父の仕事部屋へ向かう 分厚い防音扉に耳を寄せ音が鳴っていないか…

新川万詩郎
2か月前
1

小説『琴線ノート』第9話「魚口」

「作曲を教えてくれませんか?」 小川奏多という若手作曲家に送ったメッセージ 唐突に湧き上…

新川万詩郎
2か月前
2

小説『琴線ノート』第8話「カウントイン」

礼儀正しく失礼のないように さらに言えば怪しい人に思われないように 細心の注意を払ってヒナ…

新川万詩郎
2か月前
1

小説『琴線ノート』第7話「モンスター」

「七色スマイルの作曲者ですめちゃくちゃいい歌ですね」 まさか作曲者本人からコメントが来る…

新川万詩郎
2か月前

小説『琴線ノート』第6話「空」

「今すぐ音楽はやめた方がいい」 いつもはゆるい性格で厳格とは真逆のタイプの 父から投げつけられた初めての厳しい言葉 私は私なりに頑張っているしそこそこ数字もある 何が悪いのか、SNSをやってない父に何がわかるのか そんな思いが唾液に混ざり押し込むように 唇に力が入る その表情を見るだけで察するのか 父はリアクションを待たずに続ける 「俺は音楽家だから歌や演奏を聞けば その人間がどんな思いで音楽をしてるかが 透けて見えるんだよ。 誰かの心に寄り添いたい 落ち込んでいる人

小説『琴線ノート』第5話「量産型」

ヒナ太というアカウント名でSNSに 歌のカバー動画を上げればあげるほど その再生数が気になる…

新川万詩郎
2か月前
1

小説『琴線ノート』第4話「アカ」

スマホを三脚にセットしてインカメラで自分を写す ネットで買った安い三脚はグラグラと揺れ 唐…

新川万詩郎
2か月前
2

小説『琴線ノート』第3話「言い訳」

「私に作曲を教えてくれませんか?」 彼女からの唐突なメッセージを受けて 僕の思考は一瞬混…

新川万詩郎
2か月前

小説『琴線ノート』第2話「再生ボタン」

午前10時半に目が覚める 体はびっくりするほど重い そうだ昨日下北で散々飲んだんだっけな 楽…

新川万詩郎
2か月前

小説『琴線ノート』第1話

打ち合わせという名の飲み会を終え 勝手知ったる下北沢の街並みを 駅に向かって歩いていた “…

新川万詩郎
2か月前
1