ノック 終末の訪問者
M・ナイト・シャマラン監督の作品は、自分には合ったり合わなかったり。てらさわホーク氏の、「(タイカ)ヨイティティ/ワルイティティ」になぞらえると、「あるト・シャマラン/無いト・シャマラン」といったところか。『シックス・センス』『オールド』はあるト、『ヴィレッジ』『レディ・イン・ザ・ウォーター』は無いト。で、今回の『ノック 終末の訪問者』は…無いトかなあ。結構生理的に受けつけない。アリー・アスター作品とは別の意味でイヤホラですわ。
以下ネタバレ。本作、ある一家を訪問した見知らぬ集団が、彼らを拘束し、「お前らの中で生贄を決めて殺さないと、世界が終わる」と脅してくる。応じないと、一人ずつ訪問者側から死者を出し、同時に、ニュース映像で様々な災害が起きていることを見せる。でもさ、誰かを殺さないことと、災害が起きてることは、因果関係ないからね!せいぜい、その二つには相関があることしか言えてないし、他の要因かもしれないじゃん。でもそんなことはもちろん検証されることもなく話を引っ張るから、こっちは説得されないまま最後までいっちゃう。そして、結局一人を殺すことになり、殺した後、災害(の一部)が収まったことを確認する。でもこれも、因果関係が証明された訳でもないから、たまたまである以上の確証が得られない。なので、非常につらい鑑賞体験となった。
さらに、主人公はゲイカップルという設定の結果、カップルの片方を殺すことが世界にとって正しいことであるかのような解釈を与えてしまうことに、意識的ではないにせよ無自覚であり、それが更にこの映画を気持ち悪くしている。この辺はBLACKHOLEで高橋ヨシキさんが語っていた通りである。私はヨシキさんと完全に意見が一致することはあまりないが、これに関しては完全にヨシキさんに賛同する。
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