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アニポケ第46話感想 2020年ポケモンからの「ミュウツーの逆襲」への回答と解放

Hello Kids! キミはもうアニメポケットモンスター第46話、「バトル&ゲット!ミュウツーの復活」観た?

まだ観てない?

各種配信サービスで配信してますのでとりあえず観てきてください。

新しい方のアニメポケットモンスター第46話 「バトル&ゲット!ミュウツーの復活」です

観ればお分かりいただけると思いますがこの話、ミュウツーの逆襲という作品に対する「2020年のポケモン」としての回答と「ミュウツーというキャラクターを今、改めて描くこと」に対してめちゃくちゃ真摯です。私などはこの話の感想を書きたいがためだけにnoteを作った次第です。

アニメ自体の感想というよりはポケモンというコンテンツ語りを含めた拡大解釈した感想です。ご注意ください。(本当はコハルちゃんがポケモンのこと話してて学校遅れるのいいな~ とかから書きたかったけど小説みたいな長さになるので)




ゲットに対する回答

さて、私が最初にいいな!と思ったのはゴウくんが「ポケモンをゲットする」ということに対してちゃんと自分なりの答えを返したことです。

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ポケモンというゲームの魅力のひとつはやはり様々なポケモンを捕まえること。ポケモンと出会い、捕まえ、集める。ポケモンGOも初期はほぼ捕獲収集要素のみで人気が出ていたのもまだまだ記憶に新しいですね。

しかしアニメではこれまでポケモンを捕まえることを積極的には描いてきませんでした。単純にバトルに比べて面白く描きにくいのとゲームより解像度が高いアニメにおいて「乱獲」「所有」というイメージを避けるためでしょう。仲良くなってゲット、という流れも多いですね。

そんな中今シリーズの主人公のひとりであるゴウは「すべてのポケモンをゲットする!」という夢を持ち、アニメでは初めて「ポケモンをたくさん捕まえる」ことを主題としているキャラクターです。

捕まえたポケモン達も普段は研究所のパーク内で伸び伸びと暮らし、サトシたちが世話をし、どこかへ出かけるときもゴウは様々なポケモンを連れて歩き活躍の場を与えている…等と非常にうまくゲット、仲間を増やしていくことをポジティブに描いています。


ポケモンというコンテンツは「共存・友情」「捕獲・所有・戦闘」という相反する要素を抱えており、ずっと「ポケモンバトル」と「戦闘」は異なるものという描写への注力や人とポケモンの絆・関係の在り方の描き方を探ってきました。

サトシはバトルを仲間と共に強くなるため、相手と仲良くなるために行うのだという彼なりの答えを持っています。だからすぐに「バトルしようぜ!!」って言います。あれは戦闘狂なわけではなく、トレーナー・ポケモンへの交流を目的とした挨拶です。

ゲットに対してポジティブな描写をするだけでなく、今回ミュウツーの問いかけに対してゴウがポケモンをゲットすることに彼なりの「答え」を返したことは大切なことだと思います。(シビアな話、どうやってもここに現実的「正解」はでないので作中での回答を探すことが大切だと私は思います。ゲームを元にした創作物なので。)



2020年ポケモンからの「逆襲」への回答

そしてその「ゲットに対する回答」を前においてからの

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「ミュウツー、お前もポケモンなんだよな?」「ってことはモンスターボールでゲットできるんだよな!?」とゴウがボールを構えるシーン。ここ最高。

サトシやピカチュウですら「ミュウツーをゲットだって!?」と驚きます。




20年ほど前、ミュウツーの逆襲においてミュウツーは「作られたポケモン」である自分はポケモンですらない、と言っていました。

しかし2020年現在、今やポケモンに作られたポケモンもいます。抜け殻のポケモンもいます。宇宙からきたポケモンもいます。合体するポケモンもいます。頭が逆さについているポケモンもいます。ポケモンではないポケモンすらいます。人に作られた(あるいは作られたとされる)ポケモンもわりとたくさんいます。

メタ的な話としてもよく上の世代が新しいポケモンをみて「こんなのポケモンじゃない!」とか言ったりしますよね。古くはワニノコやヒノアラシやチコリータやライコウ・エンテイ・スイクン、グラードン・カイオーガ、レジ、サーナイト、メタグロス、ディアルガ・パルキア、ドサイドン、チェリム、モジャンボ、ゼクロム・レシラムetc…以降も色々言われてましたしこれからもそうでしょう。

しかし、下の世代にはどれも最初からいた同じ「ポケモン」です。古いのも一個前の世代で増えたのも新しいのも格好いいのもかわいいのも変なのも不気味なのもみんな、ボールに入るポケモンです。


ミュウツーもそう。新人トレーナーでありサトシのようにミュウツーの過去を知るわけでもないゴウにとってはミュウツーもただの「ポケモン」の一匹です。宇宙から来ても異次元から来てもポケモンに作られても人に作られてもポケモン。今はそれが当たり前。(ゴウはミュウツーが「作られたポケモン」だと聞いても特にリアクションしませんしね)


ミュウツーの逆襲のラストでも「いるんだからいるんでしょー」と明るく軽く回答を出されていますが(この重い作品の答えをあっけらかんとだすのいいよね…)、ミュウツーが悩んでた自己存在って実はそんなもんなんですよね。

頭が逆さについてるやつらとか見てみろ!最初はポケモンどころか生物ですらないとかギャーギャー言われたけど今は普通に地方別人気ポケモン投票ランキング上位にいたりみんな当たり前にポケモンとして愛されてるぞ!


そんな逆襲本編の生き物、生命の在り方 などとはまた違った観点から、多種多様なポケモン達がいてそのすべてが世界のどこかで愛されている現在だからこそのミュウツーの存在への答えをだした「2020年のポケモン観からのミュウツーの逆襲への回答」っていうのがまず良かったですね。

まるいやつ しかくいやつ とぶやつ およぐやつ もえるやつ こおるやつ ひかってるやつ くらーいやつ いろんな タイプが いるけど ぜんぶ ポケモン なんだよな (HGSS グリーン)


☆逆襲本編でミュウツーに「ポケモンだからゲットできる!!!」とか言ってボールを投げたトレーナーがいましたが、同じようなセリフなのに逆襲の頃との人とポケモンの関係性の違い、先述したようなゲットに対するスタンスの丁寧な描写、そのセリフまでの持っていきかた等でしっかり差別化してあるのもうまいよね…。



「逆襲」アフターストーリーとして

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そして「すべてのポケモンをゲットするんだからミュウツーも当然ゲットする」と決めるゴウ。サトシも「バトルしようぜ!!」と声をかけます。最強のポケモンであるミュウツーに勝ち、ポケモンマスターへの夢に近づくために。


ミュウツーの逆襲においてミュウツーは生存本能に従いオリジナルや人間に逆襲するため「戦闘」を行いました。作品的には技を使用しないことでバトルとは明確に差別化されています。

しかし今回は「バトル」。命や存在意義ではなく夢をかけて、互いを知るため、負けないためにトレーナーとポケモンが技を駆使して戦う。

あのミュウツーがバトルしてるだけで嬉しくなっちゃうのに最後に「楽しい時間を過ごせた」とか言うのもいいよね~。

勝っても負けてもお祭り騒ぎ バトルしようぜポケモンバトル


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初代世代的にはミュウツーの仲間たちが色んな地方のポケモンで、彼もサトシと同じようにあの日からずっと歩き続けてきたんだなぁ…と感じられるのも最高に良かったです。(BGM:風といっしょに)



そして、「逆襲」からの解放

ミュウツーって「ミュウツーの逆襲のキャラクター」というイメージが強いんですよね。人間に作られた哀しき生命体、みたいな。スマブラも実写版名探偵ピカチュウも逆襲の子がそのままでてるカンジですよね。

(たとえばピカチュウはサトシのパートナー!じゃないしニャースもロケット団のポケモン!じゃないじゃないよね、  っていう話)

でも今回の話って先述してきたように「逆襲」の続き、「逆襲」への回答でもあると同時にそうではない、夢の果て 冒険の先で待つ最強のポケモンという側面も描いてるんですよね。

このツイートを拝見して気づいたんですが、たしかに逆襲より前ってミュウツーってそういうポケモンだったんですよね。

原作は改造ポケモンなので科学の暴走の果てに産まれた存在ではあるんですが、それ以上にアニメ始まる前は冒険の先に待っている最強の存在、憧れだったんですよ。すっかり忘れていた。それだけ逆襲が衝撃的で心に残る作品だったっていう話ではあるんですが。

当時、クリアしてしばらくしてからナナシのどうくつの奥にめちゃくちゃ強いポケモンがいると学校で聞いた時のワクワク感。今回の話ってそのミュウツーが「最後の、最強のポケモン」だった当時の原点としての描写をされてるとも受け取る事ができるんですよね。

彼はアニメポケットモンスターの世界線に置いてもようやく、哀しき人工生命体ではなくそれを経た「冒険の先・夢の果てで待ち受ける世界最強のポケモン」という属性を付与されたわけですね。

この「逆襲」のその後・「逆襲」への回答 と同時に「逆襲」からの解放、新しいミュウツー像の定義っていうのを1本の話の中でやってるのが本当にすごい脚本だったと思います。なんか唐突に底なし沼とか出てくるの笑うけど。




ポケモンは「懐かしのコンテンツ」ではありません。世代を超えて今もこの先も続いていく作品です。なんなら今は下の世代はもちろん、初代世代の私よりはるかに歳上の「新人トレーナー」達も4年ほど前から世界中にたくさんいます。

最初の作品のイメージをいつまでも引っ張る必要なんて全然ないんです。これから始める人間にこれまでなんて関係ないんだから。

しかし最初のイメージを引き継ぎ、昇華し、更に新しい世代へのイメージを付与していく今回のような話もまた面白いと思います。


今の子供達もたくさんいるポケモンの中の一体として、うぉおミュウツーつえぇぇ!!カッコいい!!!ってなってくれてたら嬉しいです。

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PS.冒頭(ポケットモンスター、縮めてポケモン~)のミュウがポケモンしりとりしてるの気づいた?私は3回観てはじめて気づいた。

気づいてなかった?

じゃあもう一回観るといいよ


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